先日スポーツクラブのレッスンに参加してくれた人。
「うまくなりたいんです」
とわざわざ話をしに来てくれました。
私はスポーツクラブのレッスンでも、スタジオでも、同じように指導するよう心がけていますが、スポーツクラブでは初心者から10年単位で経験のある人もいて、すごく優しい内容の部分と、時々チャレンジする内容を織り交ぜています。
この間は初心者の割合が多かったのでごくごく基本の動きのみ。
それでさえ私の話を聞いておらず、個別に注意しても無反応、順番も覚えず他の人を見てばかり。
さらにポワントクラスも受けたいというのでそれははっきり断りました。
ポワントを履く最低ラインは
・レッスン中のアンシェヌマンを一人で覚えられる
・爪先の動きをある程度マスターしている(筋力含む)
・カウントが取れる
・私の注意をきちんと聞ける
順番も覚えず、音もわからず、ではポワントを履くには危険すぎます。
あ!と慌てて動いては捻挫や骨折の可能性が高まります。
基本の動きのつながりを全く覚えられないほどわかっていないのではポワントは履かせられません。
私の注意を聞けないのに、危険なことはさせられません。
「うまくなりたい」とはどのようなことを指すのか、生徒自身も明確にするべきです。
例えば、バーレッスンの振りを全く覚えられない人がバリエーションを踊るという目標を持つことは、人によっては目標が遠すぎて実現するまでの段階を考えることができなくなります。
スタジオのほうの生徒の中には、ポワントでバリエーションを踊るために、『今は〇〇をできるようにする』と具体的な目標を持てる人もいます。
こういう人は「うまくなりたい」という表現はあまり使いません。
うまくなるために、〇〇ができるようになりたいからです。
彼女は着々と上達しています。
バレエは気の遠くなるような数のパや組み合わせ、音楽の聴き分け、踊りながらでも先生の注意を聞く、などやることがたくさん。
ただ「うまくなりたい」では漠然としすぎて何をやってよいかわからないわけですね。
まずは目の前の目標を設定し、レッスン中はそれを頑張りましょう。