ひよこよさんの好きな寿司ネタは青魚である。


秋が旬の秋刀魚が出回れば、秋刀魚の寿司ばかりを食べる。

脂ののったイワシ、鯖やブリも外せないし、
とにかく青魚が好きなのだ。



ポーランドに住んで何が辛いかというと、
生の青魚が食べられないということである。



ちょうど去年の今頃、寿司恋しさにSUSHIを揚げるという気の触れた料理をした記事を書いた。




サーモンやマグロは寿司ネタとして海外でも当たり前となったが、青魚は選抜メンバー入りは出来ていない。



青魚の恋しさをスーパーで売られている自己責任のサーモンで気を逸らしていたのだが、

最近はそれも限界になり、逸らせなくなってきた。



とにかく青魚が食べたいのだ。



鯖やニシンの缶詰や惣菜らしいものは売っている。


どれもマヨネーズやトマト、マスタードにチリソースと色んなソースに漬けられており、寿司とはかけ離れている。





ロシアでもよく見かけたが、

このソース漬けをスラヴ圏の人たちはパンの上に乗せたりして食べている。



野菜と一緒にサンドイッチにしたりすると、

きっと美味しいのだろう。



しかしそれらは寿司探しの、てやんでぇひよこよさんにとって望むものではない。



ひよこよさんは加工魚コーナーを文字通り、

死んだ魚のような目で見ていた。




あったのだろう、

この加工された魚たちにもかつて生だった時が。


生で食べられる新鮮な時があったのだ。

新鮮、という素晴らしい期間。


それを越えて今はありとあらゆるソースに漬け込まれてしまっている。



ため息でその場を去ろうとした時、ひよこよさんの目に止まったものがあった。






ニシンのたまねぎ酢漬けだ。




ノルウェーやアイスランド付近ので獲れた大西洋産ニシン。


見るかぎり酢漬けなので生ではないが、肉厚でしっとりしている。



ひよこよさんは光の速さでニシンを買い物カゴに入れ、胸に抱えながら駆け足で家へと帰った。




酢を抜こう。


酢を抜きたい。



一刻も早く帰り、このニシンの酢を抜きたい。



用意するのはこちら。






牛乳と酢漬けニシンのみというシンプル材料。



酢漬けニシンの玉ねぎは忘れ形見として置いておき、あとでドレッシングになどに使えばよい。


今はもう牛乳がニシンにしっかり浸かるくらいの容器に入れたいのだ。





えいこらこんちくしょう

たっぷり注いだらぁ!





ラップで蓋をして30分。



『酢、抜けてますか?』


とたまに優しく声がけしてあげると、

ニシン側もやる気になってくれると思う。





30分後、軽く水で流して





生まれた新生児を拭くように優しく、

愛し気な気持ちで水気を切る。





ニシンをちょうどいい大きさに切って、

お米の上に乗せれば…





寿司5貫の出来上がり



今回はどうしても酢が抜けきらないことを懸念して、お米は酢飯ではなく普通の白米で勝負。



いざ、参ります。






いい!!



やはり酢は完全に抜けきらないが、

お米を白米にしたのでちょうどいい塩梅となっている。



もう少し牛乳に漬ける時間を長くしてもいいかもしれない。


味は押し寿司のような味だけど押していない、

魚が柔らかいバッテラと言ってもいい。



お正月に出す一品としても戦力になりそうだ。



これでまたしばらくは気を逸らすことが出来る。


さらにニシンを食べればこれからの季節、

ビタミンD摂取にも効果的とあれば二重に素晴らしい。



喜びの沸点が低いひよこよさんは、またひとつご機嫌になったのであった。



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