予約をしたホテルはウィーン旧市街から車で20分の所に位置していた。



(左下の家マークがホテル)




時刻は19時。



ひよこよさんは1日を通してほぼマクドナルドのポテトしか食べていない。



お腹がぺこんぺこんである。




おまりーもホテルに着いて早々に眠りに着いたことだし、夕飯に出かけよう。



(缶詰とご飯ボウルはホテルが部屋に用意してくれていた。

優しい。)




ホテル周辺を歩いてご飯を済ませ、

帰りにスーパーでお土産とお菓子でも買おう。



そのお菓子を子どもたちが寝静まった後に食べて、お腹をぱんぱんにして寝よう。




しかし、土曜日の夜はどこもお店がやっていなかった。






ゴーストタウンかと思うくらいに、歩いている人がいない。




調べてみるとスーパーという全てのスーパーが18時で閉まっていた。



そしてレストランも閉まっている所が多い。




なんてこった、とんでもない誤算である。



ワルシャワが休みだからオーストリアまで来たというのに。

これならば土曜日にレストランもスーパーも22時頃まで営業しているワルシャワに軍配があがる。



これでいて明日もスーパーが休みとなると何も、本当に何も買えないではないか。




ひよこよさんたちは近場のレストランに手当たり次第入ってみたが、

予約必須の満員であったり、Googleマップでは営業中と表示されていながら閉店していたりと絶望の極みであった。




しかしピザ屋らしきお店を近くに見つけ、

そこに飛び込んだ。







お店に入ると、

乳の谷間をチラ見せした60代女性と、同じ年齢層の男性が2人でピザを食べていた。




他に客は誰もいない。

谷間さんと男性の2人だけである。




店員さんを探していると、



『いらっしゃい。2人?』


と谷間さんが声を掛けてきた。




谷間さんはお客ではなく、店員だった。



客はひよこよさんたち以外はいない。






厨房に明かりさえ灯っていない。



谷間さんが持ってきたメニューはドイツ語のみなので必死に読み取る。






しかしピザはピザだ。

ハズレる心配がないのがピザの良いところである。





どれにしようか迷っていると、

新たにグレーのダウンを着た初老男性が入店してきた。




よかった、他にお客が来ると安心する。




しかしそのグレーダウンの初老は食器用洗剤で手を洗い、そのままキッチンに入った。




お客じゃなかった。

シェフだろうか。




谷間さんおすすめのピザを2枚、賭けで注文してみた。



そして谷間さんはグレーダウンの初老にオーダーを通して、また休憩に入ったのか座っていた。




そうか、やはりグレー初老はシェフか。


注文をし終えて、改めてお店の内装を見る。





宗教感満載のインテリア。



溶けたロウが壁をつたい、

花瓶にまで付着しているあたりがひよこよさんの胸をざわつかせる。






すると今度は金髪女性が1人で入店してきた。




その金髪女性は谷間さんに挨拶すると、

またキッチンの食器用洗剤で手を洗った。



彼女もシェフかと思いきや、

金髪女性は谷間さんと同じ席に座って話をし始めた。




金髪女性は客なのか、店員なのか。





今、ひよこよさん以外の客はこの店にいるのか。




そもそもグレー初老が何かを作っている様子も音もしないが大丈夫なのか。




頭を巡らせていると、

キッチンにいたグレー初老がタバコを持って外へ出て行った。







ちょっと待て、どこへ行く




ひよこよさんのピザは誰が作っているのだ。




しかし初老はその後、2度と戻ってくることはなかった。




今この店にいるのは、

最初に谷間さんが話していた男性と、

ひよこよさん家族、





それと金髪女性とそこに座っている谷間さんだ。






今現在、このお店に客として座っているのは何人いるのだろうか。


そもそもなぜキッチンに誰も立っておらず、

照明もついていないのだ。




しかしその5分後、驚くことに谷間さんが出来上がったピザを持ってきたのである。






一体誰が作ったピザなのか



キッチン照明は暗く、ピザ窯もついている様子もない。



そして店内は音楽のひとつもかかっておらず、非常に静寂である。





ピザを一口食べて驚いた。





恐ろしく可もなく

不可もなくである



不味くはない。


だが大きな驚きや感動もない。


全て同じ味と言ってもいい。




せっかくのウィーンで失態をかましてしまった。



いや谷間さんのお店の名誉のために言っておくが、決して不味くはない。


ただウィーンならではの、美食の国での食事という感じには至らなかったということだけである。




最後までよく分からなかった謎のレストランに入り、口惜しい夜となってしまって少し残念なひよこよさんであった。




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