お気に入りのケバブ屋さんがある。
ポーランド全土なのかはわからないが、
ワルシャワはケバブ屋さんがとても多い。
薬屋、コンビニに次いで多いお店ではないかと思う。
ワルシャワのケバブは野菜とお肉とソースを混ぜてトルティーヤの皮で包み、それをグリルで挟んで焼き色を付けるスタイルが一般的である。
中身は大体同じだが、プレート式になってポテトと食べたりご飯と食べたりもする。
お肉は鶏肉、牛肉かマトンでミックスも可能な所が多い。
野菜はキャベツや人参の細切りがベースであるが、味付けや香味野菜を入れたりなどお店によってそれぞれ違いがある。
日本にいた時はケバブなど食べる時がなかった。
日本にあるケバブといえば、
大体キッチンカーで陽気なトルコ人系の方がピタパンに挟んでいるのが主流なのではないかと思う。
しかしワルシャワではあまりの店舗の多さに、おにぎりくらいの立ち位置で根付いている。
そして値段も一般的な食事に比べて安価なため、今ではひよこよさんのよく食べるもののひとつとなった。
そんなひよこよさんがお気に入りのケバブ屋さんがある。
家から徒歩20分ほどにある、市街地の中にある地域密着型のお店である。
ここに来たのは家族でこのケバブ屋の近くにある日本食屋さんへ行った帰り道。
『足りなかった』
と言う夫にひよこよさんがこのケバブ屋さんに入ったことが始まりである。
地域密着型のこのケバブ屋は比較的いつも空いている。
注文して待っていると、アジア人が珍しかったのか店員さんが声を掛けてきた。
日本人だと話すと店員さんは嬉しそうに
『自分はバングラデシュ人やで』
と教えてくれた。
バングラデシュの国旗からも日本を好いてくれている国としてひよこよさんも知っている。
うふふあははと話してケバブを受取り、家族で食べながら家へ向かったのだが、
このケバブがべらぼうに美味しかった。
今まで色んなケバブを食べてきた。
ポーランドの人におすすめされて行ったお店なども行ったが、
『そやな、美味いな』
といまいちピンと来ず、2度目はなかった。
が、このケバブ屋さんは癖がなくて日本人の口に満場一致合致の味であった。
そしてしばらくしてまた行ったのだが、
今回は店員さんが前回の方含めて3名揃っていた。
そしてひよこよさんだと分かるやいなや
『日本に行った友だちがおんねん。
東京大学っていう所へ通ってるんや。
あと俺の息子も見てくれ。
4ヶ月やねんけど、俺の弾くギターを聴いてる動画があるから見てくれや。』
と次から次へ話をしてくれた。
ひよこよさんは話を聞きながら、バングラデシュでのベンガル語を調べていた。
そしてケバブを受取り、ベンガル語でお礼と挨拶をすると
『友よ、これを持ってってくれや。』
とコーラを2本くれた。
『支払うで!』
と言ったが彼らは笑顔で紳士的に店のドアを開けて見送ってくれた。
コーラをもらってしまった。
そんな時、“ものを頂いたらきちんと御礼をお返ししたい勢”のひよこよさんは戸惑ってしまう。
これから何度も通いたいのにコーラを…
コーラをいただくことが当たり前になってしまったら申し訳ない。
ひよこよさんは考えた。
ケバブと一緒にコーラを注文しよう。
コーラを注文すればちゃんと支払えて、彼らのお店のためになる。
そうやそうやと、しばらくしてまたお店へ行った。
ひよこよさんは自信満々で注文した。
『今日はチキンケバブ3本とビーフを1本と…
それとコーラ2本や!』
『No!
Your Coca-Cola is free!』
あかん!
間髪入れずにコーラはサービスで付けると笑顔で言われた。
『コーラ無料はあかん!
頼む!支払わせてくれ!!』
と懇願したが、
『あんたが来た時はいつでもコーラはサービスやで』
と3本も詰めてくれた。
外の車で待っている夫に連絡すると、
話にならん
コカコーラゼロでケバブのカロリーもゼロになる訳ではない。
どうしてもコーラ代を受け取ってもらえず、店をあとにした。
(ちなみにケバブはとにかくでかい)
こんなに貰ってしまってどうしたらいいのか。
次回からはそれとなくレジ前にあるチップ箱の中にお金を投じようと決めたひよこよさんであった。
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