前回の航空便での引越し作業の際、
『今ハンブルグ(荷物の寄港地)で大規模なストライキが起こっていて、
船便が遅れる可能性が高いです。』
と引越しスタッフさん言われ、9月中旬を覚悟していたので嬉しい限りであった。
箱総数70箱。
どんどんと運ばれてくる。
日本人スタッフの方が、現地スタッフさんへ箱をどこへ運ぶか指示をしてくれる。
『えー…これは台所へ。
これも台所、次も台所で…それも台所。
あ、次も台所ですね。
えー…次が…あ、次も台所…
で、その次も台所…』
70箱中20箱が台所という恐怖。
『奥さん、こんなに台所用品を置いたお宅は僕は初めてです。
あとですね、日本発からの荷物の中にポーランド食器が出てきたのも初めて見ました。
…どうします?
台所のお荷物…出しますか?』
と聞かれ、
『もう床でもどこでも…
全部出してやってくだせぇ…』
と台所20箱に途方に暮れていた。
引越し業者さんはひよこよさんと一緒にひたすら荷物を取り出し、爽やかに帰って行った。
さて、ひよこよさんの荷解き開始である。
見渡す限りの台所用品の山に、
ソファにも置かれた台所用品からの台所用品。
そしてその他雑貨。
床に置かれた台所用品におまりー用品。
ロシアもそうであったが、とにかく紙製品全般が高いのでペットシーツを大量に持ち込んだ。
廊下に散乱する台所用品に、
家族で足は4組しかないのに大量の靴。
子ども部屋に置かれた台所用品と、
日本で探していた次男の小学校の通学帽とピアニカ。
山のように積まれたひよこよさんの服と、
服がぱんぱんに押し込まれた衣装ケース。
届いた食料と家電と化粧品類、それに衣類に寝具。
ポーランドは新品の商品に課税が掛かるので、
引越しの際に全て関税リストに手書きで記入した。
日本の引越しの時に泣きながら記入したリストをクリアして届いた食品や家電たち。
過去の自分の思惑通り、あの時の自分に感謝しかない。
ありがとう、過去に頑張ってくれたひよこよさん。
さてここから14時間、
昼休憩の20分以外休まず、
気がつけばお手洗いも一度も行かずに片付けたがあと少しのところで終わらなかった。
生きるためだけの必要最低限の筋肉しか待ち合わせていないひよこよさんは、
どうしても重たい荷物をさばけない。
夫の帰りを待って最後の片付けをして終了。
台所もぎちぎちであるが、何とか入りきった。
ありがたかったのは息子たちが何度もゴミ捨てへ行ってくれたことである。
長男は自分が使ったもの(洋服や玩具など)を捨てる時に
『ありがとうね。
リサイクルしてまた戻ってきてね。』
と声をかけてから捨てる。
本当に一体誰に似たのか、
もうすぐ中学1年生になろうとしている男子が
捨てるもの全てにお礼を述べるのだ。
今回、ロシア駐在時代をずっと共にしてきたスーツケースを手放すことになった。
側面の全てに『HEAVY』シールが貼られ、
重たい荷物ばかり入れられて横側の取っ手も取れてなくなり、
ぼろぼろになりながらも今回のポーランドへの引越しも第一線で支えてくれたのだが、
中がカビてしまっている所もあり残念ながら捨てる次第となった。
このスーツケースにも長男は心から感謝と別れを述べていた。
『ごみはごみなり!』精神のひよこよさんは信じがたいのだが、どうかこの気持ちを忘れずに育ってほしい。
航空便15箱と船便70箱の到着をもってひよこよさん家の引越しが無事終了。
これで鍋2つのみで暮らす生活が終わった。
引越し屋さん、本当にありがとうございました。
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