一緒にお昼寝でもしたろかなと横になった時である。
玄関のチャイムが鳴った。
駐在中に玄関のチャイムが鳴らされるほど恐ろしいものはない。
どうかピンポンダッシュであれと一縷の望みをかけるが、お隣さんはダビデ像家族のみである。
ドアを開けるとそこにはこのマンションの守衛さんが立っていた。
よぼよぼ爺の守衛さんは早口のポーランド語で話してきた。
さっぱり分からん。
『ポーランド語分からんくて…』
困った時のGoogle翻訳を使って、
守衛さんに話してもらって音声認識をしてもらおうとした。
しかしよぼよぼ爺の守衛さんの声が、
晩年の淡谷のり子のシャンソンくらい震えていて音声認識されなかった。
2人して八方塞がりになったその時である。
ダビデ像の父である。
ちょうど出かけようと家を出てきたダビデ像の父に、ひよこよさんは助けを求めた。
ダビデ像の父は守衛さんと話をし、
『明日工事の業者が来るんやな?
駐車場を開けなあかんのやけど、明日守衛がいないんやて。
それでどうするか相談に来たらしいんやけど…
大家の…ユキ姐の電話番号分かるか?』
とひよこよさんには英語で話してくれた。
ひよこよさんは光の速さでユキ姐に電話をし、
ダビデ像の父と話してもらった。
電話を切ったダビデ像の父は
『守衛にもユキ姐にも話したから大丈夫や。
困ったことがあったらすぐにうちに来るんやで。
もし外にいたら電話でもしてくれたら、私が相手と話してあげるからな。』
と言って去っていった。
ダビデ像の父…!
挨拶しておいて本当によかった。
心からそう思った。
こんな親切なダビデ像の父が隣人であるひよこよさんは、前世で一体どんな徳を積んだのか。
ヒーローは検事の木村拓哉ではなく、
我が家の隣にいたのだと知った日であった。
よろしくおねしゃす。
投稿のお知らせやたまに記事を載せるインスタアカウントはこちら↓
こちらもよろしくおねしゃす。