最近のげにげにーに少し変化があった。
『ひよこよ。次はどこへいきますカ?』
『ひよこよはどんな音楽が好きデスカ?』
『見て下サイ、ひよこよ。隣のタクシードライバーがお腹にケバブ乗せて運転していマス!』
そう、呼び方がついに『ひよこよサン』から『ひよこよ』に変わったのだ。
ひよこよさんから特に彼に何か言ったのではない。
どんな心のやり取りがあったのかは知らぬが、げにげにーは自ら『サン付け』をやめた。
ちなみにウラジオストクのおじさんは当然、初対面から呼び捨てである。
去年一年間、げにげにーは絶対に『ひよこよサン』と呼んでいた。
が、今年に入ってから咄嗟に名前を呼ぶ時など、たまに『ひよこよ』と呼ぶようになった。
「げにげにーよ。
たまに攻めてくるようになったな…。」
とひよこよさんは思っていた。
そして1週間に1回…2回…数回…とげにげにーなりに足慣らしをして、ついに彼は『毎度ひよこよ呼び』を手に入れた。
『サン付け』が堅苦しかったひよこよさんは少し嬉しい。
そんなげにげにーを温かい目で見ていると、今朝次男をプリスクールに送った後に彼は言った。
「ひよこよ。
私もは今日これから歯医者に行こうと思っているので、これにて今日は帰りマス。
サヨナラ。」
そして彼は去っていった。
去り行く車を見ながら、ひよこよさんはウラジオのおじさんを思い出していた。
家を買い、その契約書類をまとめたいがゆえに今日はもう帰りたいと言い出すおじさん。
水道管の修理工が来るから今日これからもう帰りたいと言い出すおじさん。
彼女のトーニャが仕事を終え、散歩をしていると知って今日はもう早く帰りたいと言い出すおじさん。
トーニャが旅行から帰ってきた時に空港で一番に出迎えたいので今日はもう帰りたいと言い出すおじさん…。
呼び捨てになるとおじさんのように帰りたくなるのか。
そうなのかい、げにげにー。
よろしくおねしゃす。
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息子パロースランの兵役終了祝いだそう。
おじさんよかったなぁ。
これからもよろしくおねしゃす。**