「ひよこよサン、今日はハロウィンですネ。」
「あれはアメリカの文化デス。
ロシアにはまだ浸透していナイと思いマス。
子どもたちがお菓子をもらいに来るなんてことはナイですよ。」
げにげにーが言った。
日本でもここ5年ほどで一気に祭り化したハロウィン。
ロシアではまださほどハロウィンハロウィンしていないようである。
確かに夜にお菓子をもらいに来るなどは、日本でも個人的にやるというより町内会的な催しなところが多いだろう。
長男は今朝からひよこよさんがどうにかこしらえたドラキュラの衣装で楽しそうに学校へ向かった。
「手品をやる人みたいな帽子をかぶりたい。」
という長男のリクエストで、ひよこよさんが死にものぐるいで探したハット。
その努力の結晶のハットを長男はなぜか学校でなくし、たくさんのお菓子を貰えたことにハットをなくしたことさえも忘れて帰宅してきた。
楽しかったならそれでよい。
母としてはやりきった。
そして子どもたちを寝かしつけ、やれやれとソファにダイブした21時。
ドンドンドンドン。
玄関のドアを叩く音とそれに反応してけたたましく吠えるおまりー。
誰やねん…。
どうする、出るか。
こちとらノーメイクに3年もののUNIQLOよれよれリラコ。
どうする。
再度ドアを叩かれ、吠えるおまりーに次男も泣き出したところで『なんやねん』とおまりーを抱っこして観念してドアを開けた。
『FOO〜!
Halloween!』
げにげにー!!
来るやないかー!!!
一瞬のことで気が動転したひよこよさん、急いでお菓子をかき集めて渡す。
どうやら彼女たちは姉妹でこのマンションをとにかくまわりまくっているらしい。
『写真撮る?一緒に撮ろうや!!』
と言われたものの…
1番ホラーなのはノーメイクの自分であることをひよこよさんは知っている。
ハッピーハロウィン。
よろしくおねしゃす。