「動物園に行く前に、ちょっと寄ってもいいか。」
おじさん(ロシア人47歳)が聞いてきた。
「もちろんええよ。」
と答えた10分後に姿を現したのは、
トーニャと息子のピョートル(5歳)だった。
とうとうこの日が来たのである。
お味噌や謎のナスのペースト、豚汁やチーズケーキ…ひよこよさんと数々の食交換交流をしてきたトーニャがついに降臨。
そしておじさんから何も説明のないまま、ともに動物園へ。
1900年代に使われた車やバイクがずらりと並ぶ。
明らかに『入っちゃだめだよテープ』があるのに無視して入っちゃうおじさんと、それを温かく見守るトーニャ。
おじさんの彼女家族と、とにかく遊び倒すという謎な1日を過ごしたひよこよさん。
しかしトーニャといるおじさんは幸せそうであった。
ピョートルもそれはそれはおじさんに懐いており、おじさんも可愛がっている。
最後にトーニャはひよこよさんにブレスレットをくれた。
琥珀のブレスレットである。
元は松脂である琥珀。
「ひよこよの旧姓は『松』が付いているんだろう?」
とおじさんが言った。
去年出会った頃のおじさんに他愛もなく話したのを覚えていてくれたのだ。
「このくらいの琥珀が出来上がるのに1000年ほど掛かるんだ。
ゆっくりと、でも着実に成長する琥珀は、まるでひよこよ家族のようだな。」
…今週末、ひよこよさんはウラジオストクを去る。
1日1日を大事にしたい。
よろしくおねしゃす。