間もなく一時帰国である。
お土産には美味しかったチョコレートやパスタ、グジェリ(ロシアの陶器の民芸品)やクリスマスのオーナメントを揃えた。
子どもたちの服の荷造りを始めていると、ふと一時帰国最大の問題と目が合ってしまった。
彼女の一時帰国申請にいつも手間取るのだ。
まず、市内にある普通の動物病院ではなく
、ウラジオストク州政府公認の動物病院にて健康診断を受け、書類をもらわねばならない。
さらにその健康診断は出発3日前からでしか受け付けてくれない。
そして毎度のことだが、英語が通じないのに英語の申請書類が必要ということがさらに一筋縄ではいかないことに拍車をかける。
前日に
「明日一時帰国のための健康診断と、書類をいただきに参りますよ」
と連絡を入れていくとスムーズ。
(病院側がうっかり書類の在庫を切らしていたりするため)
すると、
*犬用のパスポート
*狂犬病抗体価検査の証明書
*犬本人
が必要である旨を教えてくれた。
(犬用のパスポートのお話→こちらだね。)
翌日、朝焼けが始まる9時過ぎに来院。
前回窓辺にいた猫は病院内でぬくぬくしていた。
しばらく待つと、「こちらへ」と外のプレハブ小屋に通される。
健康診断なのだが、この無造作に置かれた機械を犬にサッサッと当てて終了である。
「どこへ行くのか、犬の種類及び色、年齢」などを口頭にて答え、獣医師がパソコンに打ち込んで書類を出力。
さらに獣医師の手書きのサインや病院の住所を英語にて記入せねばならないのだが、
「名前…私の名前な…英語やろ?
えっとな…多分こうやわ。うん。
え?病院の住所も英語で書かなあかんの?
ちょっと待って、ウラジオストクやろ。
えっとな…まず…Vlat…
え?『t』やないん?『d』?
『d』ってどない書くんやっけ。
丸みたいのついてたよな。
あーそうそう、これな。えーっと…
Vladivostok…合ってる?」
先生、まじか。
この調子でひよこよさんのあやつり人形と化した先生は、こちら指定の書類に全てサインと日付を記入してくれた。
そして作業を終えた先生は、実に晴れ晴れとした表情で去って行ったのである。
……病院側の書類は揃ったが、これでおまりーが出国出来るという保証を得た訳ではない。
次はウラジオストク空港の検疫所にてまた難関が待ち受けるのだ。
私たちと一緒に出国出来るか出来ないか…まさにロシアンルーレットなのである。
よろしくおねしゃす。
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ロシアという国は『間違いなくこのやり方でOK』というものが存在しません。
担当者によって意見ややり方が違うのです。
なのでこちらは何を言われてもいいように、万全の態勢で臨まねばならないという…
なんて国だ!!!!!
これからもよろしくおねしゃす。**