春にして君を想う思いもよらない人が、思いもよらない形で夢の中にでてきた朝は動揺する。決して会えないとわかっていても、何かか起こりそうな淡い期待が溢れ出てきて、いてもたってもいられなくなる。しかしそれは所詮夢の余韻でしかないことに気づかされるまで、そう時間はかからない。あとはまた悲しみの底にたどり着けるまでひたすらもがくしかない。僕はまだ、あの日に捕らわれたままだと気づく。