義理の母は兄の炉の火傷を気にして、我が子との別れを告げた。
家を出て暫くしてから迷い込んだ様子の親子とすれ違った。
「もう外に情報を洩らさないよう命じよう。」
そしてカウボーイみたいな守衛に戸を開けてくれるよう願い出ていた。
「わたなべひでよと申します。？かなんなぁ、あなたこっち？ピンクのバッグお好きなのかしら。」
「そうです。靴も。」
「じゃあ出発進行!」
「おばあちゃん名前を何て言うの？」
「あよこ」
「あ？」
「大東亜戦争で負けたのよ。もう。行くよ！ちゃんと閉めといてね！」
「あぁ。」
草場裕次郎はわたなべひでよと秘密を共有し強迫観念を懐いて過ごした為に、烏丸七条地下で日常的な私を見て夏の蚊の如く感じてパンチをしたのだろう。
犯罪は非日常的だからだ。
自分の世界と違うとは何だろうか？
着飾っても洗濯しても、拭えない垢を共有できない一般人の中でやるせない思いを膨らませる丹羽園子もまた、常に事騒ぎを求めているのが細身のスタイルに表れていた。
市役所の知らぬ振りを嘆き朝まで京阪七条マクドに居たのか？
倒れた社長は何処に運べば良いかと言う電話を主任は受けて九条へと指示したのか？
有料電話に託つけて拘るのが普通の捜査だろう？
２人の足取り連絡先運搬人当たり前の質問が不可能となったのも野呂の支配下にあった部下に捜査担当を持たせたからではないか？
解りやすいね？
野呂さんとは米田さんの本名であり、'７１渋谷事件後に新聞に記載された逃走犯人の１人と一致する。
この人が上手く遣り過ごせる為の世の中を坂田さんはじめ逃走仲間の家族がこさえたと言って過言ではない。