仕事から帰った夫さんが、 なにやら手に持った郵便物を

 

しげしげと見つめながら家に入ってきた。

 

 

 

私 : 「なあに、それ」

 

夫 : 「……招待状、だよな…。これ。」

 

 

 

見ると確かに結婚式の招待状のようなカンジ。

 

白い封筒に毛筆の宛名、 慶事用の切手。

 

早く抱いてくれと言わんばかりに ひよ子の腕の中から

 

思い切り手を伸ばすひよ吉に目もくれず

 

ただ しげしげとその封筒を見つめている 夫さん。

 

 

 

私 : 「おめでたいじゃん、 誰から? 誰が結婚するの?」

 

夫 : 「Y本さんみたいなんだけど…

 

     Y本さん…だよな、 この住所」

 

 

 

Y本さんは 夫さんが若い頃に キャンプだ釣りだと遊びほうけていたとき、

 

一緒になって 馬鹿をやっていた 仲間の一人。 

 

私たちの結婚式にも出席してもらったけど、

 

ここ1年以上 なかなか連絡をとる機会が無かった人だ。


 

 

私 : 「なんで? 結婚するとかなんとか 聞いてないの?」

 

夫 : 「うん。」

 

私 : 「え?」

 

 

 

夫 : 「彼女がいることすら

 

     人づてにしか聞いてないし、

 

     女っけが無いヤツだったから

 

     いきなり結婚なんて 寝耳に水状態で 

 

   今すごく頭が混乱してる。

 

 

 

……はい???

 

 

 

ふつう、 招待状を送る時って、 

 

まず先に結婚の報告とかするものなのでは…。

 

 

 

その上で 相手の都合を確認して、 良い返事が来たら

 

改めて 招待状を送るものなのではないだろうか……。

 

 

 

混乱しながらも、 とりあえず 彼女の存在を教えてくれた

 

共通のお友達に 電話をすることに。

 

このお友達は よく連絡も取るし、

 

ひよ吉と 同じ学年になる赤ちゃんがいるので

 

ちょこちょこ 会ったりもしているの。

 

 

 

夫 : 「もしもし元気?

 

     突然なんだけどさ、 今日って Y本さんから

 

     郵便物とか届いた? ……え?

 

     何にも無い???

 

 

 

Y本さんも お友達も、 隣接した市町村に住んでいるから

 

一緒に投函すれば 届いてるはずなんだけど……。

 

 

 

手書きだから 出来た分から 順次発送してるのかな???

 

 

 

とてもおめでたいことなのに、 

 

クエスチョンマークが先走って

 

『おめでとう』 『うれしい』 『良かったね』

 

などという感情が なかなか出てこない……。

 

 

 

ちなみに Y本さんは 夫さんと同い年なので

 

30代半ばの 立派な大人であるはずの年齢。

 

 

 

……つい一昨日、 ひよ子も結婚式に出席してきたけど、

 

ひよ子より 5つも年下の新婦ちゃんのほうが

 

Y本さんより よっぽど しっかりしてるわ。。。

 

 

 

早く 『Y本さん、 おめでとう!』って 心から言いたいなあ(^▽^;)