いよいよクリスマス。 みなさんはどのようなイブをお過ごしでしょうか。

 

今日は、サンタクロースにまつわる思い出をひとつ。

 

 

 

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ちいさいころ、 クリスマスが近づいてくると、 頭の中は サンタさんのことで いっぱいだった。

 

 

 

いつも ねてるあいだに プレゼントをおいていってくれる サンタさん。

 

わたしのほしいものを、 ちゃんとプレゼントしてくれる。

 

どうして ほしいものが わかるんだろう?

 

どこからきて、 どうやって おうちのなかに はいってくるんだろう?

 

 

 

私 「ねえねえ、 クリスマスの日ってさ、 げんかんのかぎ、 しめないで ねるよね?」

 

母 「ええ? どうして?」

 

私 「だってさ、 うちって エントツないじゃん! サンタさんが入ってこれないと、 プレゼントもらえないよ!」

 

 

 

実家は いたってフツーの公団住宅。 煙突なぞあるはずもない。

 

絵本や物語に出てくるサンタさんは、 常に煙突から家の中に入ってくるのだ。

 

煙突がない我が家にどうやって入ってくるのか 納得がいかなかったひよ子は、

 

『きっと玄関や窓から、家族を起こさないように こっそり入ってくるんだ!』

 

と 幼稚園児のクセに 超現実的な結論を導き出していた。

 

 

 

それを聞いていた父は 声をあげて笑い出し、

  

父 「それじゃあ、 クリスマスの日は 泥棒も入り放題だなあ。 

   

   せっかくもらったプレゼントも もって行かれちゃうぞ」

  

と、 何ともオソロシイ言葉を口にした。Σ(・□・;|||

 

 

 

私 「ええ~、 でもさ、 うちエントツないよ? サンタさんは エントツから入ってくるんだよ?

 

   エントツないのに、 かぎぜんぶしめちゃったら サンタさん 入ってこれないじゃん」

 

 

 

サンタさんが入ってこないと、今年のプレゼントはもらえないではないか!(((゜д゜;)))

 

幼いひよ子にとっては 一大事である。

 

すると、 父なりに 幼い子供の夢を壊さないよう 気遣ってくれたのだろう。

 

不安げにしている ひよ子に向かって、 こうのたまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父 「大丈夫だ!!サンタさんは ちゃんと、 

 

 換気扇から

 入ってくるから!

 

 

 

 

 

 

 

 


 

( ̄□ ̄)???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

か ん き せ ん ? ? ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナ ニ そ れ 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼稚園児のひよ子に 『かんきせん』 というものの認識が あるはずが無い。

 

ぽかんと口を開ける ひよ子に対し、 父は得意げに 言葉を続けた。

 

 

 

父 「エントツは、 暖炉で火を燃やしたときにでる煙を 外に出すためのものだろう?

 

   うちで火を燃やすのは、 台所だ!

 

   台所で出た 煙や湯気を 外に出すものは、 換気扇だ!!

 

   だから、 サンタさんは うちに入ってくるとき、 換気扇から 来るんだよ!!」

 

 

 

なんか まくしたてているが、 ひよ子にとっては トンチンカンである。

 

幼稚園児のひよ子の中で、 エントツは サンタさんの出入り口に 他ならなかった。

 

暖炉で火を燃やすことも、 

 

燃やした煙を家の外に出すことも、

 

エントツと暖炉が つながっていることすら どうでもいい事実だった。

 

 

 

私 「??? ……かんきせん、 て、 どこにあるの?」

 

 

 

母が台所に連れて行って 見せてくれた換気扇は、 扇風機が壁についたようなもので、

 

その羽根は 茶色のべたべたしたものが びっしりついていて すごく汚なかった。

 

幼稚園児のひよ子にしたら とても高いところにあったが、 

 

一目で 絵本で見るような恰幅のいい大人が 出入りできる大きさでは ないことがわかった。

 

 

 

 

 

私 「うそだ! こんなばっちいとこから サンタさんなんて 入ってこないよ!!」

 

父 「いいや! ここから入ってくるんだ! いつもそうだぞ!!!

 

私 「だって、 ここよりぜったい サンタさんのほうが おおきいじゃん!

 

   こんなせまいとこから 入ってこれないよ!!」

 

父 「大丈夫だ! サンタさんは 魔法みたいにケムリになって 入って来るんだ!!

 

 

 

 

煙になるほどの魔法が使えるなら、 魔法で鍵 開ければいいじゃん。

 

ていうか まどろっこしいことしないで、 瞬間移動でも すればいいじゃん。

 

サンタさんだけ煙になっても、 プレゼントが つっかえるじゃん。

 

大人になった今なら ツッコミどころ満載なのだが、 いくら現実的でも 幼児にそこまでの知恵は無かった。

 

 

 

納得いかないまま クリスマスの朝を迎えると、 

 

枕元に キレイに包装された プレゼントが置いてあった。

 

納得いかないまま プレゼントを開封し、

 

とりあえず もらったプレゼントには 素直に喜びを感じた。

 

 

 

そして プレゼントの中身を確認した後、 びりびりにしてしまった包装紙を手にとって

 

しげしげと 観察するひよ子が そこにいた。

 

 

 

 

 

 

ぜんぜん ばっちいよごれが 

ついてない……。

 

ぜったい かんきせんから 

入ってきたんじゃない……。

 

 

 

おとうさんは、 

なにかウソをついてる!! 

 

 

 

 

 

父の要らぬフォローが、 幼いひよ子の夢を壊し、 ひとつ大人に成長させた。

 

よしんば 「換気扇から入ってくる」 ことを信じたとしても、

 

プレゼントという夢を持ったサンタさんが 油でどろどろになった換気扇から出入りするとしたら 

 

それはそれで 夢が壊れたことであろう。

 

 

 

 

 

うそをつくなら、 

もっと上手な うそをつけ。