それはときどき、前触れもなくやってくる。



あんなところやこんなところ、そんなところにまで気配を感じる。



そして、これまで幾度となく蘇ったあの記憶たち。



それに占領されてしまう。



例えば、娘の自転車こぎを助けながら。



息子をたかいたかいして、落ちてくる大粒のよだれを回避しながら。



夫の部屋のボックスティッシュを補充しながら。



一度開いてしまうともうこのありさまだ。



どんどんどんどん勝手に開いて、大抵は大きな刺激で一旦蓋をされる。



それまでのことがまるでうそのように。



何もなかったかのように。



でもまたほら、やってきてしまうんだよ。



今宵はバックナンバーの幸せを聴き、浸る、浸る。



また明日から元気なママでいられますように...