先日、と言ってもすでに1ヶ月経ってしまったが、ホールインワンを目の当たりにした。
パー3を生観戦するときは、グリーン周りで待ち構えてボールの行方を目で追う。放物線を描くそれがカップまでどれだけ近づいたかによって、歓声の大きさが違ってくるわけだが、私を含めてほとんどのギャラリーは、グリーンにオンしたボールが「消えてしまう」ということを想定して観てはいない。
ニチレイレディス初日11番ホールにおいて、菊地絵理香選手が自身通算3度目のホールインワンを達成した。
この日は花道手前で見ていた私。
絵理香選手の放ったボールの着地点から、これは1m以内ベタピンを確信し、声質高めの「ナイッソーン!」の発声準備をした。
しかし、ボールを見失った。いや、この距離で見失うわけがない。そこまで私の視力は衰えていない。グリーンに着地して、そこからカップに向かっていった軌道は覚えているが、カップから先のボールの行方の記憶がないのだ。
消えたボールがどこへ行ったのか、脳が合理的な答えを導き出せない。一方で「まさか?」の可能性に気づき始める私の脳。この間おそらく1、2秒。
仕方がないので、近くにいた方に聞いてみた。
「入っちゃいましたかね?」
「入りました。私も初めて(見ました)」
その後の会話は覚えていない。
気がついたら、グリーンに向かって歩いてくる絵理香選手の姿を夢中で録っていた(良い子はマネしてはいけません)。
興奮爆発なのは我々ギャラリーだけで、決めた絵理香選手は至って冷静に見えた。こんなことくらいで我が君ははしゃいだりしないのだ(内面は興奮していたかもしれないが)。
絵理香選手のプロキャリアで3度しかないシーンに立ち会えた。この巡り合わせの幸運に感謝したい。
同組でプレーしていたテレサ・ルーが途中棄権するほどの気温に、私自身「今日は10番でお暇しよう」と決めていたくらいだったが、その10番でバーディを決めた絵理香選手の背中が「スイッチ入ったよ」と言っているように見えたので、引き続き帯同を決意した直後の11番だった。
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あれ以来、すべてのパー3でエースを期待してしまっている私がいる。
これがエースのボールだ。気前よく応援団に投げてくれ、それをキャッチした方に撮らせてもらったもの