2023年 最終戦 リコーカップ【最終日】 | ひよきんのJLPGA(日本女子プロゴルフ)ツアー観戦記

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菊地絵理香選手を中心に、週中には試合プレビューを、週末にはレビューを書いていきます

※記事中の人名はすべて敬称略とさせていただきます

 「不動さんを見ているみたい」

 

 16番、勝負を決めたティーショットを見て、解説の福嶋晃子がつぶやいた。

 不動さんとはもちろん、不動裕理のことだ。

 全盛期の不動のプレーを知る者がそう言うのだ。彼女のプレーやそれらの振る舞いすべてが、通算50勝を誇るレジェンドにすでに比肩しているように見えたのだろう。

 

 リコーカップ、今季JLPGAツアー最終戦の最終日。2位と2打差でスタートした山下美夢有だったが、前半あまりピリッとせず、高橋彩華に一時首位を譲る展開に。しかし8番のバーディでスイッチが入り、9番で連続バーディをゲット。冒頭の16番Par.3のティー・ショットがベタピン。ここで勝負あり。

 

 山下美夢有、2年連続でこのリコーカップを制し、そして2年連続の年間女王を決めた。

 


 終わってみればやっぱり山下は強かった(各メディアにおいて「終わってみれば……」という枕詞が並ぶであろう)。

 昨今の「叩いてしまったボギーは次のパー5、2オン・イーグルで取り返そう」という、かっ飛ばしブームの中で、山下はそれを実現できる“飛距離”を持たざる者だったが、その飛距離以外のすべてのスペックを最大値にし、見事に2年連続の女王となったのだ。


 詳しいレポートは今シーズンの総括と合わせて後日掲載させていただくつもりで、今日は結果だけをさらっと……。そのように表彰式を眺めながら割りと淡々と書いていた私だったが、最後にこのシーンで泣かされた。

 

スピーチの後、所在なげに立っていた山下の背後からジエが近づいていき祝福のハグ

 

 

 これは……この振る舞いは、なかなかできないぞ。

 ジエの年間女王獲得への思いは誰もが知るところ。その中で最終戦のついさっきまでそれを争っていた相手に対して、ちょっとした合間にこんなにさらりと。

 

 ああ、スポーツって本当にいいな。

 

 申ジエ選手(菊地絵理香選手以外にめったに“選手”の称号を付けない私だがここはもうしょうがない)、スロープレーなどでいろいろ言われることもある。だが、それ以上に見習うべき点が多いのも事実だ。それは日本の若手プロゴルファーの育成に確実に繋がっている。試合後の公式会見で山下が申ジエについて、一緒に回れることの有意義さをかなりの尺で語っているのがその証左だ。それと金澤志奈がオフにどうしても一緒に、と懇願し誰とキャンプするかを調べてみたらいい。どうか来季もJLPGA女王目指してまだまだ頑張ってほしい。


 また、普段いかにキャディが選手と一緒に懸命に闘っているのかが分かる写真がこちら。

 

松村卓キャディ。肩の荷が降りたのか大号泣。

 

 

 そして、明日から米レギュラーツアー初挑戦に旅立つ2人。

 

萌寧ちゃん、向こうでもオリ銀メダルの実力を遺憾無く発揮してね!

 

優利ちゃん、絵理香先輩が寂しがるので週に一回は電話してあげてね

 

 

 最後に菊地絵理香選手。今季本当の最後だ。

 今大会はスコア的には厳しかったが、後半の修正は利いていたと思うので、今オフでまた準備をしっかりとしつつ、“春娘”の称号復活とばかりに、3〜4月のうちに1勝してしまい、残りの半年はリコー対策にあてて、来季こそぜひともあの「レッド・シャワー」(って呼び名でよいのか?優勝すると39人に浴びせられるあの赤いクラッカー)を背景にシーズンを終えたいところ。

 それと鴨川キャディ、最後まで絵理香選手の側で味方でいてくれてありがとう。来季も開幕からきっと一緒に闘ってくれるのでしょう。本当にお疲れさまでした。

 

 そして最後(あ、2回目)に選手のみなさま、関係者のみなさま、そして選手を一生懸命に応援したすべての方々、たいへんおつかれさまでした。

 

 みんな今夜はもう、呑もう!

 

「レッド・クラッカー」を放ったあとに、製品の欠陥(赤が少ない)について呟いている(であろう)絵理香先輩。それにしても小顔すぎる

 

2023.11.26 了


追記:ゴルサバSPの収録が明日あり、絵理香先輩出場だそうです。2020年に続きこっちでも優勝しちゃってください。(ゆかり先輩、情報ありがとうございます)