わたしはどこか仲間の元へ来ていた。


そこでのわたしは絶対的な自信を、

自身の歌唱力に、そして

やたらと高い本番への強さを持っているようだ。


仲間たちとの会話で、

どうやらわたしの役目は、

その歌唱一つで、いま何かが起きようとしている

その重大そうな何かの危機を乗り越えることらしい。


最終試験のようだ。

ポケモンのミューツーのよりスタイリッシュになったような教官とたった1人で対峙するわたしの番が来た。

カンナで削りたてのヒノキの色味の桟橋みたい。低い手すりと、平坦な廊下みたいな空間。


そこでわたしは、その一部始終を録画しようと

スマホを録画モードで隅に立て掛けていた。


演奏する曲は、どうやら即興で既存の有名な大ヒット曲をカバーするという試みを兼ねた曲。


まだ、歌詞も覚えてなくて、もしかしたらスマホで表示する歌詞を見ながら、ギターのコードもわからないところは見ないと弾けないかもしれなかった。


試験官らしき教官?のミューツーらしき異形と話しをするわたしには、その不確定要素すら楽しむ絶対の自信がみなぎっていた。


様々な話を交わし、


場面は何かの宇宙船の、他のメンバーは眠った後の

誰もいない真っ暗な深夜のコックピットだった。


とても穏やかに胸は熱く、話を終えたばかりのわたしの心はすでに感動で満たされていた。


教官との話はとてと深く、わたしを癒してくれていた。


たった1人、真っ暗闇の中、コックピットの広大な窓の外に映し出される流れる景色、

何かが荒れて崩れていくような映像を足元に見ながら、


わたしは録画している範囲外であるにもかかわらず、歌を唄い始めた。


なぜかさっきまで必死でアレンジや歌詞を覚えようと必死になっていた曲とは違う曲だった。


RADWIMPSの前前前世のサビの歌詞がどうも覚えられないみたいだった。


途端に歌い始めた歌は、どうやら間違えないと判断したのか、歌い慣れた大人気の曲。


中島みゆきの糸を無伴奏で歌っていた。


サビの時、なぜかわたし自身でハモっていた。


照明を落とした真っ暗な広いコックピットの足元に、わたしの影が二つ別方向に伸びているのが見えた。


声が震え、普段通りの、わたしが自信もなにも持てなくなった、好きでもない普通の地声の歌声。


夢の中のその歌っている間だけ、わたしは自信に満ちていた。どんな震え方がしようとも、歌声の全てに完璧であると感じていた。


歌い終えたとき、無線で他の部屋の宇宙船の代表に連絡した。


「この録音、どこかのマイクが拾ってると思うから後で抽出してデータにして送るね!」


そう言ってくれたら相手はまさに、先ほどまでの歌唱を見守ってくれていた別室にいた仲間のひとり。


ここまでは、何かの映画みたいだった。



場面が変わった。


清々しい、海の手前の小さな乗船チケット売り場か

新聞売りの屋台のような場所で、親しい老人が

映画の感想を聞くような感覚で、

どうだった?って聞く。



イメージには、ぐらつく積み木に飛び乗ることで、

バランスを取ろうとしているわたしがいた。


君の名は。の映画を思い出して、その感想を答えようとしているみたいだが、内容が違う。


積み木といえば、他の映画が浮かんだ。これはネタバレだから題名は伏せるけど、


世界の均衡を保つ大きな白い積み木のぐらつくテッペンの先端に、


一つ積み木を置くことで安定させようとしている。



先ほどの感想を聞く老人はこう言った。


「ここぞという瞬間に乗ってしまえば、ゆらぎは案外ピタッと止まるもんだよ。」



その瞬間をとどめてしまえば、それまで積み上げた積み木は安定して、またしばらくは安定が続く。



そして、まさにわたしは先ほどその積み木の一端に飛び乗り、安定を体験したところであった。


ただの夢日記なんだけど、なんだか良かった。



寝起きでよくわからないけど、書いています。


/ 柊