『パーフェクト・プラン』を観た。原題は『Good People』。
観た感想は、どこが“Good People”なんだと言うこと。
個人的にはつまらなかった。
折角なので、何が残念ポイントだったのか考えてみようと思う。
残念ポイント一つ目。登場人物に感情移入出来ないし、愛着が湧かず、行く末を見守る気になれない。
不審死した間借り人の部屋から大金を発見する夫婦。
祖母から相続したボロボロの一軒家を守るために、怪しいお金と知りつつも手をつける夫。
妻に相談もせずに横領し、その判断のせいで、妻の命を危険にさらし、妻の友人も人質にされるなど、周りの迷惑も考えてほしい。
前半は屋敷を売らなくて良いように、後半はお金を渡した瞬間麻薬組織の人間に殺されるという考え方で、どこまでもお金に執着しているようにしか見えない。
一人で勝手に判断して、絶対にお金を手放さない夫を応援しようと思えない。
娘の仇を打つのに必死な老刑事もどこかいびつだ。
夫婦の横領が発覚した際も、特別とがめる訳でなく、夫婦を利用して麻薬組織をおびき出すなど、目的が達成されるならそれでいいと言わんばかりだ。
残念ポイント二つ目は、夫の判断ミスが多いことだ。
金を渡す代わりにもう関わらないでくれ、と金の受け渡しを行う最中。
老刑事がいるのがバレて交渉決裂、公園で銃乱射が始まり、命からがら逃げる始末。
その時にお金を捨ててと叫ぶ妻の言葉を聞き入れず、持ち帰る夫。
お金を元の場所に戻すタイミングは何度もあったのに、私欲のために着服する夫。
一市民がふとしたきっかけから犯罪組織に追われたり、襲われたりするタイプの映画がある。
だからきっかけとして、一つミスをするのは良い。
ただストーリーが転がりだした最中に、自分のエゴで周りを危険にさらす登場人物はいただけない。
例えば『ドント・ブリーズ』という映画では、育児放棄した親から妹と一緒に逃げ出す為に、老いた視覚障害の退役軍人宅へ強盗をする。
忍び込んだ所、ただの視覚障害のおじいちゃんではなく、仲間が一人あっさり殺されるのを見て、残った二人は命からがら家からの脱出を試みる(もはやホーンテッドマンション)。
素人の若者ならこの程度だろうという身体能力の振り方も適切。
忍び込む家の選択を間違えたのが、“物語を始めるための”失敗。
その後は頭脳や戦略を用いて、筋肉隆々の老人と互角にやり合いながら(少し劣勢?)脱出するので楽しい。
ついでに言うと、強盗のきっかけが、妹(と自分)の為という、私欲から始まったものじゃないのにも好感が持てる。
(ホラー・スリラー映画は苦手な人にも『ドント・ブリーズ』はオススメ!)脱線した。
最後の残念ポイントは、設定のアラが目立つ所。
麻薬組織のジャックを屋敷に呼び出し、反撃するのは良いけれど、家にそんな仕掛けを用意する時間ってあった?
また敵の足音を頼りに、床下から的確に針を打ち込むなんて出来るんだろうか?
間借り人の不審死(その後薬物中毒死と分かる)。
間借り人が隠していたお金があっさり見つかる。
ご都合主義的な、ストーリーに必要だから付け足したような馴染みの悪いシーンが多くてとても気になる。
つまらないと一蹴するのは簡単だけど、何故響かなかったのかを考えてみた。
ふとしたきっかけでお金を盗む夫婦。
さも最初から老刑事を応援したかのように振る舞う汚職警官。
バカな夫婦を利用して復讐をたくらむ老刑事。
どこが『Good People』なんだろうという痛烈な皮肉なのかもね。