先日、日本舞踊を見て知るイベントに参加した。

京都市が毎年行っている文化体験イベントで、今回のテーマは日本舞踊
(1/25「京都・和の文化体験の日」@春秋座)


日本舞踊の披露、トークショー、体験(一部のみ)の3部で組まれている本イベント。

京都に住んでいることもあり、寺社仏閣に行く機会は多いとは思っている(庭を見るのが好き)。
和菓子も人並みに食べる(じょうよ饅頭が好き)。

ただ伝統芸能と聞くと、途端に身構えてしまう。
特に舞踊に対しては、全く知識が無く、動きが地味で退屈なものというイメージがあった。
内心居眠りをしないかヒヤヒヤしながら見る。



京舞井上流の井上安寿子さんが登場。
京都の方なら、都をどりの振り付けをされている流派、というと分かりやすいかもしれない。
もっとざっくりした説明だと、祇園甲部地域の舞妓さんは、井上流を踊っている。


珠取海女(たまとりあま)』という演目を観る。
我が子の出世の為に自らの命を懸けて、海中の龍から宝珠を取り返す話で、ストーリー性が強くビギナーでも楽しみやすいそう。

ゆっくりと地味に踊るイメージとは裏腹に、力強い足踏みでハッとする場面、軽やかにジャンプして地面に引き付けられるかのように音も無く着地する瞬間が見ていて心地よい。

中腰だろうと、動きが綺麗でぶれない。
背筋がすごい。
手の先まで彼女の意志が通っている。
また袖が綺麗に見えるように終始腕を張っておられて、地味にしんどそうだ。

演目のチョイスのおかげか、踊りの展開が変わっていき、メリハリがあって楽しい。(聞き取り辛いが、一応長唄で説明もしてくれているっぽい)



日本の伝統芸能全般に、苦手意識を持っていた。
一見日本語で分かりそうなのに、クリアに解らないもどかしさを感じるからだ。
ただ一瞥で分かってしまうと、興味を失う原因にもなる。

テレビでたまに見かける落語もそう。
落語だってノイジーな落語家の話は全然頭に入ってこない。
一方で発音が綺麗ですっきりとした喋りは、面白くなくて観るのを止めてしまう。

その中間の絶妙さ
概要と見所説明のパンフレットが助けてくれたのもあるけれど。
『珠取海女』にはそれがあって、是非とももう一度観たいなと思わせてくれた。
(長唄を聴くと踊りに置いていかれ、躍りを観ると長唄に置いていかれた私)


着物での舞姿を見て、どうでも良いことを思い出す。

私は高校時代に茶道部に入っていた。
しがない公立高校の茶道部なので、盆略手前ばかり(盆上で行う簡素なお手前)、クーラーは無く、スーパーの大袋和菓子でやりくりする有り様だった。
普段は着物を着ないので、文化祭に浴衣を着てテンションが上がっていた時に先生がさらりと一言。
「足を開きながら立ち上がると、着物の中が見えてしまうから気をつけなさい」

井上安寿子さんが舞っている間、見えないだろうかと勝手にヒヤヒヤしていた。
彼女の名誉のために言うが、勿論見えていない。