正月早々、懐かしい声と共に悲しい便りが届いた。
怪我でお休みされていた方が、辞職する、と電話で伝えてくれたのだ。
私は無責任な「お大事にしてください」の台詞しか言えなかった。


一本の電話でさようならが決まる。
時間や想い、会話の数など全てを差し置いて。

別に冷たいとかそんな話ではなく、簡単に縁はほどけてしまう事実。
寂しさや悲しさが追い付かないまま。

終わりが来るまで気付かないし気付けない。
これが最期だと考えることなく、たくさんの繋がりを手放している。
全部は取っておけないからさと呟きながら。
補強しても補強してもほどけて見失ってしまったあの糸に縋る私が、そんな台詞を言うのはすごく滑稽だろう。


これが最期と気付くこともなく人生の幕も下りる。ギロチンのようにスッパリと。


大事にしてたのにと溢す口を愛おしみ、悲しさに付いてこない心を冷たいやつだなと責めるのだろう。
悲しくあれ、と自分が命令しているのだ。
脳で考えた感情は心が中々合わせてくれない。

サンチマンタリスム中毒。悲しい顔を作る私。