方向性はディズニーランドやUSjに近いのではと感じた。
日々の合間に、遠出せずとも普段の行動圏の中で楽しめるアミューズメント。
パークのように歩き疲れて疲労を残すこともない。細やかな遊園地。
神楽のような舞台の回りに、寺院を模しているのか、お堂のようなセットが組んであり、ぐるりと取り囲むように座布団(客席)が用意されている。
観客は経典と楽器(鳴子や鈴)を渡され、般若心経を読みながら、楽器を鳴らしながら、全員が劇の一員となってパフォーマンスが進んでいく。
最初は殆んど般若心経そのまま唱えているだけなのが、章を増すごとに音の響きそれ自体を意識してみたり、般若心経にリズムをつけて楽しんでみたりと、宗教儀式のスタイルから始まりながらもアプローチが発展していって面白い。
一緒にお経を読んだり、手元の楽器を鳴らしたり、経典を見て舞台を見てを行き来して忙しく、のめり込んで参加すればするほど幸福感を感じる。
儀式的ではあるけれど、スピリチュアルな怖さや、自分が自分で無くなっていくような不安感はない。飽くまでエンターテイメントの心地良い高揚感だ。
視覚と聴覚だけではなく、床から伝わる振動やパフォーマーの熱気を近くで浴び、香りが漂い嗅覚も刺激され、全身で劇を体感することになる。
『ハレとケ』という言葉が頭に浮かぶ。
日常が退屈であればあるほど、観客はこの世界にトリップ出来て心地よく酔いが回る。
日常で消耗して、新しいことを始めるエネルギーは無いけれど違う世界を体験したい人に強くオススメ。