友人が良いと薦めてくれた映画。
その友人は、私のバンド好きを知って薦めたのか?(それだったら嬉しい。)
純粋に友人が湯浅監督好きだったから?

どちらにせよ、私はこの映画を観て良かったと思った。



「あそび」がたくさん組み込まれている映画で楽しかった。

まず色遊びが面白い。
湯浅監督作品の色彩感覚は独特で、一度見たら忘れられない。ポップアートが動画になって走り回っているような奔放さを感じる。

そして突然の人体のデフォルメ。人の体さえもデフォルメされて丸っこく描かれたり、ゴム人間のように膨らんだりするシーンがたくさんある。
人体のデッサンを無視して、イメージのまま動かすシーンを入れることで人の動きの勢いや感情がよりダイレクトに伝わってくる。
アニメ映画なので実写映画では行えないアニメ独特の表現があるのだが、例えば“照れてほっぺたが赤くなる”など定型化され使い尽くされた表現だけではない所が好き。

最後に日常での「あそび」。
飽くまで街の風景や、登場人物は平凡でどこにでもありそうな現実感が漂っているのに、ルーが出現してからあり得ない現象が起こり、そして最後にルーが消えて日常に戻る。
日常の延長に非現実があり、また日常に戻っていく。
私たち平凡な一般人も、もしかしたらそんな日常の延長を味わえるのではないかと(かすかだが)期待してしまう。


今回は映画版の作品だけあって、ストーリーが大衆向けで王道だと思った。
本筋を知っていたとしても、映像の「あそび」が多いため、1シーン1シーンの映像自体が楽しませてくれるので何度観返しても飽きない作品だろう。


子供達だけではなく、主人公の父やルーのお父さんなど、大人も物語の中心で話を動かしていて、大人になってしまった私が観ても疎外感を感じずに自分もこの一員になれるのではないかと期待してしまう。


(四畳半神話体系&夜は短し歩けよ乙女の樋口さんと瓜二つだと思ったけれど、)和尚の表情が何とも言えなくて好きだった。
後ルーの表情のバリエーションが多く、非常に可愛らしい。


今更ながら歌うたいのバラッドが良い曲だなと感じた。


もうすぐ湯浅監督の新作、「きみと、波にのれたら」が公開される。湯浅さん熱をキープしつつ6月の公開まで待とうと思う。