クリスチャン・ボルタンスキー‐ Lifetime に行ってきた。

場所は国立国際美術館。
〈国立国際〉という抽象的で、また所在地が読み取れないネーミングセンスを疑う。(※京阪渡辺橋駅近く)


人間の生と死、儚さが表現されていて空間に動揺させられる。
電球の瞬きが心音に合わせて点滅している《心臓音》や、彼の死ぬ時に止まるであろうデジタル時計《最後の時》、自分はまだ生きているんだなと強く実感する。

違う展示では白黒の遠い昔に撮られた写真の人物の胸元に見かけたダビデの星から、ユダヤ人なのが分かった。ナチスのホロコーストが咄嗟に浮かんでしまう。
観賞後に気になって調べてみると、彼の父親はロシア系のユダヤ人らしい。その辛い歴史的出来事と自身の血筋を重ねることも多いのだろう。
無機質で感情を読み取りにくい作品が多い中、ホロコーストの悲惨さを訴える社会的主張をはらんだ作品がありたじろぐ。

また貸金庫のようなブリキの箱が積み上げられた上の壁面に、人物の写真が飾ってあり、ああこれは納骨庫なのだと納得する《死んだスイス人の資料》。

ヒントは僅か。でもその一つの手掛かりに重大な意味な含まれていて、メッセージを発信しているのだ。

個人的には、《黄昏》《発言する》《影》《心臓音》が好きだった。

2時間くらいいた気がする。

今回思ったのは、平面でこちらが訪問するのを待ち構えている絵画よりは、空間まるごと使って鑑賞者を迎え入れてくれるインスタレーションの方が私は好きだと思った。また静止物よりも動きがあって変化が起こるアートの方が好きなのかもしれない。

オススメしたい展示だった。是非とも生で観て欲しい。
5/6(月)まで行われているので是非とも!


作品名:《黒いモニュメント、来世》


作品名:《コート》


作品名:《発言する》