学生時代はジャズを聴くとひやひやした。
千鳥足のようによろけながら曲が進むので、流していても頭に全然入ってこない。
きっと心の余裕がある大人の為の音楽なんだな。
私の心が成熟すれば、私がもっと大人になれば心に染みるんだと思っていた。
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「大人」が20歳以上の解釈なら、当にクリアしたが、心の成熟したの意味では果たしてどうだろう?
私はまだまだよく悩む。
他人との経験の差に凹む。
「大人」から若いと言われて凹む。
「大人」から認めてもらいたいから、がむしゃらに何でも挑戦して見識を広げる。
でもその挑戦は「若いよね」という一言で要約され、私だから出来たのではなく、若いから出来たのだと納得される。
若くても走れないときは走れないのに。
振り返っても足跡はひどく薄く心もとないから、そこから逃げるように私は走る。
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今ではほんの僅かなスタンダードナンバーなら心地よく聞けるようになった。
大人に近付いたのか、それともただ聴き慣れただけなのか。
まあいいや、私を若いと言う人の歳になるまではまだ余裕がある。
挑戦する年数の余裕はある。
焦らなくてもいい。大人への汽水域を楽しみながらゆっくり進んでいこう。