つい先日、日経新聞に載った記事で、『唾液によるHIV検査』と言うのがありました。
けっこう色んなサイトで紹介されて話題になっています。
あなたもよくご存知のように、現在のHIV検査は血液による抗体検査や遺伝子検査が一般的で
あり、唾液による検査と言うのはあまりお目にかかりません。
実は、アメリカでは2004年からすでに唾液によるHIV検査は実用化されています。
その検査キットは日本でも輸入販売がされています。
ですから、唾液によるHIV検査そのものは日本でこそ珍しいですが、画期的と言うものでは
ありません。
しかし、今回話題になっている唾液によるHIV検査は、現在アメリカで普及している検査方式とは
丸きり違います。
まずは新聞記事から検査の主な要点をご紹介しましょう。
1.唾液10ミリリットルにウイルス1粒子という低濃度でも検知できる。
2.検査結果は最速30分程度で判明する。
3.検査費用は1検体当たり3千円~5千円。
4.今までは感染してから3ヶ月程度たたないと分からなかったがこの方式なら、ごく初期で判明する。
5.唾液を採取するだけなので、痛みもなく、患者の検査への抵抗感が下がる。
6.来年度(2012年)の実用化を目指す。
ここで注目されるのは4番目です。
実はこの検査、HIV抗体検査ではなく、HIVそのものを見つける検査なのです。
従って、感染者の体内で抗体が出来るまで待つ必要がありません。
「ごく初期で分かる」とだけ書かれているので、それが1週間なのか、2週間なのかは分かりませんが。
現在のHIV検査では最も早期に検査可能なのはNAT検査と呼ばれる遺伝子検査で、感染から
11日が経過していれば検査可能とされています。
しかし、このNAT検査、費用が高い上に検査装置が限られた施設にしかありません。
ですから、新しい唾液検査で、費用が3千円ほどで仮に1週間で検査可能であれば、これはもう
画期的です。
ちなみに、アメリカで使われている唾液検査キットは抗体検査なので血液検査同様、感染から
3ヶ月しないと検査が出来ません。
さて、紹介が遅れましたがこの新しい唾液検査を開発したのは、鹿児島大学の大学院理工学
研究科の隅田泰生教授です。
隅田教授が研究しているのは糖鎖固定化金ナノ粒子(SGNP)を用いた検査技術です。
隅田教授は自らスディックスバイオテックと言うベンチャー企業を起こし、この技術の普及に
努めています。
新聞発表の記事だけ見ると、非常に素晴らしいHIV検査が来年から登場することになります。
ただ、私が一番知りたいことが新聞には書かれていません。
それは、偽陰性率です。
すなわち、本当はHIVに感染している人が、間違って感染していないと判定される誤判定率が
どのくらいなのか。それが知りたいですね。
現在の血液による抗体検査では、偽陰性率は250万分の1とされており、検査で陰性と
判定されればまず安心出来ます。
しかし、アメリカで販売されている唾液による抗体検査は、これほどの精度はありません。
製品販売のホームページによると、血液抗体検査に対する正確さは99.3%だそうです。
また、こんなデータもホームページには載っています。
HIV-1に実際に感染した人767人に対して唾液による抗体検査を行ったところ、762人に
陽性反応が出たそうです。
販売元はこのデータをして「高い信頼性」とうたっています。
しかし・・・・HIVに感染しているのに陰性となった人が5人いる訳ですよ。
あなたはこれを「高い信頼性」と評価して、ご自分で使う気になれますか?
私は絶対にダメですね。使いたくないです。
何はともあれ、今回の唾液を検体とする新しい検査は、2012年には実用化されると書かれて
いるので、大いに注目したいと思います。
検出精度が現行の血液検査と同等以上で、しかも感染後すぐに検査可能であれば本当に
画期的ですね。
この唾液によるHIV検査がもっと詳しく知りたいあなたはこちらから。