ここでは早慶合格に必要な「速読」の習得方法について書きます。正しく速読の技術を身につければ、ただ早く英文を読み終えられるだけではなく、「一文一文の意味は理解しながら読んでるはずなのに途中で内容を忘れてしまう」という英語学習者不変の悩みも解決します。TOEICのpart7にも役立つかと思います。

【長文読解の鉄則】
①いますぐはじめる

「長文は文法を完璧してから…」なんて言わないで下さい。入試問題の8割近くは長文です。それをゆるーく始めていては受かるものも受かりません。いますぐ始めましょう。

②英文を速読用・精読用・構文用などとわけない

一般的な予備校ではそれぞれ別のテキストを使って学ばせますが、正直意味不明です(私はそれをやらせてる側ですが)。そもそも文法・単語・熟語・長文・リスニングと分かれてるんですから、これ以上分けたらストレスが溜まるだけです(物事を切り分けすぎて考えるのがストレスの元なのだそうです)。むしろこれらを意識的に一つの英文から吸収することが効率的な成績アップのポイントです(だから区分自体は必要です)。

③毎日やる・最低でも30回は読む

はっきりと断言しますが、長文読解は「暗記」です。
もちろん、往年のユダヤ教徒みたいに文章丸ごと暗唱しろといっているわけではありません。
何が言いたいかというと、長文をスラスラ読めるようになれるかどうかは、どれだけ多くの単語・熟語・文法・文章展開がカタマリとしてストック出来ているかにかかっている、ということです。

そしてもう一つ、長文読解は「感覚」でもあります。

というと既述したことと矛盾しているようですから、ちゃんと言うと「単なる語義の暗記ではなく、見た瞬間に日本語を介さずとも意味が取れるようになるまで狂気じみた反復が必要」ということです。例えば"apple"と聞けばいちいち「りんご」と訳さなくてもりんごを思い浮かべることが出来るのは、"apple"という語をりんごを浮かべながら何千回と聞いてきたからです。


もうここまでいえば、方法は簡単ですね。

そうです。同じ英文を読みまくって下さい。多読・乱読は不要です。

理想は、あなたがこれまで人生で聞いた・話した「りんご」の数を"apple"の数が上回ることです。そのためにもなるべく早く日本語を介さずとも理解できる状態を作らなければなりません。

僕は予備校では「英文解釈」なる構文解説の講座を担当しているのですが、そこですらひたすら反復して速読技術を身に付けるよう指導しています。

これはTOEICの勉強でつくづく実感しました。
学生時代、巷で売れてるベストセラーを解きまくったり、BBC放送を聞き流して見たりと試したのに、長らく700点代を浮浪、自分の英語力も所詮ここまでかと諦めていたのですが、ある時出会ったTOEIC講師・濱崎潤之輔さんの「模試三回分を狂信的に解きまくる」というマッチョな勉強法に転換してみたところ、二ヶ月で一気に900点を超えました。
なぜこんなことに早く気づかなかったんだろう、と今となっては思います。浪人時代の僕にとって「反復」は当たり前の仕事だったのに。

きっと慢心があったのです。「自分は既に大学生なのだから、生徒に教える側なのだから、ネイティブのように広く英語に触れるべきだ」。

このやり方は、確かに英語力を維持する上では役に立ちます。しかし向上には繋がりません。だからもし「絶対に去年と同じ大学に合格しよう!」と意気込んでいる友人がいたら勧めてみて下さい。

それと、これは大学入学後のことも考慮して言いますが、TOEICや英検のためにジャパンタイムス等の英字新聞を購読するのはほぼ無意味です。「繰り返し読むつもりです!」と言っても、例えばあなたは5/21の記事を一年間に渡って読み続けられますか?よっぽど5/21が好きななら別ですが、少なくともこの日が誕生日の僕ですらやりたくないです。

【学習方法・計画】
当日:精読・リスニング
翌日:リスニング・音読
7日後:音読・シャドーイング・測読
30日後:音読・シャドーイング・測読

「①精読→②リスニング(ここまでインプット)→③音読→④シャドーイング→⑤測読」の順に格上げしていきます。

以上以下、数字は目安です(よっぽどキレキレの人じゃないと反復の過程で飛ぶと思います)。あくまで①→⑤のステップアップを意識して取り組んで下さい。 

①精読→3回
文の構造を捉えます。これから少なくとも30回はお付き合いするのですから、最初の挨拶は丁寧に行いましょう。複雑なことも学びますが、それらは反復の過程で全て感覚に落とし込めます。であれば、ここでいかに多くのことを学べるかがこの後の反復学習のクオリティを決定します。とはいえ、「原型がわからなくなるほどの品詞分解」(修飾関係の把握だけでいいです)や、実質的な「国語の勉強」はダメです。「英語力の向上」だけに焦点を当てます。

そしてもう一つ、初読の際は先に日本語訳を読んで構いません。こちらの方が圧倒的に早いです。先ほど言ったことと矛盾するようですが、むしろ逐一日本語に戻る方が結果として日本語に触れる回数が多くなります。だったらはじめにしっかり読んでおけば、あとは英語だけでいけます。
また「実践的じゃない」と思うかもしれませんが、そもそも実践を求めるなら過去問を解いてください。それに初読で十分に読める英文なら、わざわざ何度も反復する必要はありません(百ます計算をやりまくっても数学ができるようにはならないのと同じです)。

ちなみに僕も英語力向上を目的とした勉強では未だに日本語訳を先に読みます(新聞やBBCにも触れていますが、これは自分の英語力を確認してるだけなので)。

②リスニング→5回
音読への繋ぎです。カタカナ英語で何度も発音していてはそれが染み付いてしまいますから、ここで正しい英語に触れて下さい。スクリプトなしでも意味がスラスラわかるようになるまで聞いてほしいのですが、これは精読直後であれば5回もかからずできます。ダラダラやらずに必ず①と同日中にやって下さい。

③音読→10回
音読の効用を否定する英語講師はこの世にいません。時の洗礼を受けた信頼性の高い勉強法です。
「音読してると自分の声が邪魔で読解に集中できないんですよねぇ、だから俺にはむいてませんわぁ」
なんていってはいけません。むしろ邪魔をいれることが目的だからです。
確かに音読をすると色々な神経を使うため、文章の意味や構造の理解に集中できなくなり読みにくくなります。しかし逆にその環境下でも読めるようになれば真の英語力です。

④シャドーイング→10回
②と③の融合です。これも、「聞く」という作業に「音読」という作業をいれてあえて邪魔をします。ただし、シャドーイングだけでは意外と音読でつっかえることもありますから、③④はあくまで別物としてそれぞれトレーニングして下さい。

⑤測読→3回
「測読」は、時間を測って速読・黙読することを私が勝手にそう呼んでるだけなのですが、これが想像以上に役に立ちます。私はこれまで「速読」を謳うセミナーにいくつも参加してきたのですが、私の頭の出来が悪いのか、ほとんど意味がわかりませんでした(眼球の訓練だったり、スピリチュアリズムだったり)。しかしその中でも唯一効果を実感できたのがこれです。

考えてみれば当然で、入試会場では音読もシャドーイングもできません。入試で合格することを目的にするなら、「黙読」とも素直に向き合わなければなりません。

ただし⑤に入ったあとも、あくまで勉強の中心は③④に据えて下さい。⑤が試合形式の実践練習だとすれば、③④は素振りや筋トレといった基礎練習です。基礎練習なしでの実践練習は怪我の元です。
逆に言えば、初読の段階から速読を意識する必要はありません。速読は究極的には英語を塊ごとに絵として認識することなのですが(結果としてこうなるだけなので深く考えないで下さい)、音声情報なしでこれをやろうとすると英語を記号の無意味な配列として脳が捉えることになり、不毛です。もう一度いいますが、あくまで音読・シャドーイングを中心にして下さい。

次回は具体的な参考書について書きます。ありがとうございました。