旅の思い出「史跡 尾去沢鉱山」(秋田県・鹿角市) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

史跡 尾去沢鉱山

℡)1086‐22‐0123

 

往訪日:2023年10月7日

所在地:秋田県鹿角市尾去沢字獅子沢13番地5

拝観時間:(4/1~10/31)9時~17時

拝観料:一般1,000円 中学生800円 小学生600円

アクセス:東北道・鹿角八幡平ICから約15分

駐車場:約550台

■近代化産業遺産

■日本の地質百選

 

《鍾乳洞ではありません。人間のしわざです》

 

ひつぞうです。湯川温泉・山人を辞したのちに一路秋田を目指し、尾去沢(おさりざわ)鉱山を訪ねました。ここは1300年の歴史を誇る国内最大級の鉱山跡。銅の国内シェア50%を占め、明治の近代化に貢献したことで知られます。以下、往訪記です。

 

★ ★ ★

 

子供の頃、鉱物の世界に目覚めた1974年当時、辛うじて経営が続いていた国内最大規模の鉱山だった。しかし、オイルショックによる銅価格下落と鉱脈の枯渇を理由に1978年に閉山。その後、1982年よりテーマパークとして開業。現在に至っている。

 

 

ようやく雨もあがり、期待通りの晴天になった。しかし、駐車場には車が数台…。石見銀山しかり富岡製糸場しかり。産業遺産は一般観光客に対する訴求力に限界があるのかも知れない。個人的にはとても魅力的なのだが。

 

「そりゃね。一回観ればいいかにゃと思うよ」サル

 

佐渡金山は大入り満員だよ。

 

「銅と金じゃ響きが違うにゃ」サル プラチナがもっと好き♪

 

是非頑張ってほしい。

 

 

坑内は年間通じて13℃程度。羽織物はマスト。そういう自分は半袖だったが。

 

 

石切沢通洞坑から入坑する。標準コース(1.1㌔ 約30分)と奥まで進む特別コース(1.7㌔ 約40分)の2パターン。せっかくなので後者を選ぶことにした。

 

 

最初はコンクリート擁壁のトンネルから。かつて利用された鉱車のレールが残る。

 

 

「片方に柱があるにゃ」サル

 

落盤防止の片留中柱支柱だね。

 

 

幾つも枝分かれしている。

 

 

結構ヒンヤリする。

 

「これ金じゃね?」サル

 

 

黄銅鉱の露頭だね。シロウト眼には金に見えるので愚者の金とも言われるよ。

 

「ひっどい!」サル

 

 

もう誰もいなくなった(笑)。

 

 

ここは見応えあるね。

 

 

いったいどこまで掘ったんだ?

 

 

尾去沢鉱山はマグマの上昇に伴って発生した鉱物を含む水が山体の亀裂(断層)の中で固まったもので、浅熱水鉱床に分類される。

 

 

こうした鉱脈をエレベーターを設置しながら蟻の巣状に掘っていった。

 

 

一段あたりの高さ30㍍。前高450㍍。想像もつかない規模。

 

 

足場がなければどこまで落ちていくか判らない。

 

 

大規模採掘跡を通過。大迫力だ。

 

 

シュリンケージ工法で採掘された。最初に削岩機で横穴を掘り、ダイナマイトを詰めて爆破。ある程度掘り進んだところで、今度は天井をストーパーで削岩。足場を組んで人道と排出口を確保しつつ、28㍍の高さまで掘ると終了。再び水平に削岩。このサイクルを繰り返していく。

 

「広い処に出てきた」サル

 

 

坑内作業者の安全を祈願する山神社だ。

 

 

削岩機と掘った孔。こりゃ足腰にこたえそうだ。

 

 

ここにも銅鉱の露頭。一般人にはただの石だね(笑)。

 

 

「古酒が熟成中だの」サル

 

温度が安定しているからね。よく見られる利用法。

 

「なんか見えてきた」サル

 

 

分岐点だ。一般コース(赤線)はここで左。特別コース(緑線)は右に進むみたいね。

 

 

採掘された鉱石はグランピー鉱車坑井(こうせい)に誘導。そこで御覧のように傾斜して一気に落下させて溜めこむ仕組みだ。

 

「建物が見えてきたにゃ」サル

 

やあ。たくさん係の人がいるじゃん。

 

 

よく見るとマネキンだった…あせ。めっちゃ焦った。そうならそうだと言ってよ。

 

 

実際に使われていた坑内休憩所なんだね。

 

 

マネキンのポーズがなんかリアルなんだよ。後ろ姿とか特に。

 

 

顔はザ・マネキンなんだけど。

 

「びっくりしたにゃー」サル

 

 

ダイナマイトですな。

 

 

江戸時代は南部藩の管理だったんだけど、明治以降、紆余曲折を経て明治22年に岩崎家の手に落ち、明治26年に三菱合資会社(三菱財閥)の経営に委ねられることになる。だからスリーダイヤが付いているんだ。

 

 

聞いてる?

 

 

生活の跡発見。

 

 

こうして鉱車で運ばれる。

 

 

立坑(坑内エレベーター)

 

 

縦方向に絶賛削岩中。

 

 

なんか巨大な空間がみえてきたね。

 

 

「すっごい縦穴だにゃ!」サル

 

どれどれ?

 

 

余りに高すぎてうまく写真で表現できない。

 

 

余りに深すぎてうまく写真で表現できない。

 

ここは一見の価値あり!

 

 

絶賛資機材の整備中。

 

 

ということで戻ってきた。なんだよ。「人形での演出があります」って書いてあるよ。

 

「驚いた人の苦情が殺到したんだろーにゃ」サル

 

西洋人は喜ぶけどね。こういうドッキリ。

 

 

昭和35年頃の鉱山の航空写真。巨大すぎて認識不可能(笑)。

 

 

坑内倉庫。

 

 

火薬庫。

 

 

最後は江戸時代の「尾去西道金山」慶長の坑道を通って終わりだ。

 

 

坑道の再整備で発見されたかなり純度の高い銅鉱脈。

 

 

からめ場風景。

 

 

手掘り採掘風景。昔はこうやって鑿と槌で掘っていたんだ。気が遠くなるよ。

 

「絶対ムリ」サル

 

おサルはムリでしょ(笑)。以上で見学終了。

 

 

一気に地上へ。お疲れ様でした。

 

「なかなか勉強になった」サル ガラガラだったけど

 

 

佐渡金山しかり足尾銅山しかり。この手の施設は土産売り場に直結している。売り子のオババの熱烈な客引きをいかに掻いくぐるかが腕の見せ所。

 

 

せっかくなので構内にある鹿角市鉱山歴史館も見学しよう。

 

 

他所の鉱山資料館で大概観たのでさわりだけ。

 

 

鉱山の模型。山の中がどうなっているかというと…。

 

 

「アリの巣みたいだにゃ」サル

 

僕にはキノコの菌糸にみえるよ。これだけ掘り尽くせば鉱脈が絶えるのも判る。

 

以下、尾去沢らしい鉱物を備忘録。標本類は多すぎて(笑)。

 

 

ナルミ鉱は尾去沢特有の金鉱石でその含有量で知られる。ボコボコした表面が特徴で、石英、緑泥石、赤鉄鉱で組成。シロウトには違いの判別が難しい。

 

 

尾去沢鉱山で最初に発見された尾去沢石。硫酸塩鉱が酸化してできた鉱物で、黄色い微細結晶体の集合がそれらしい。

 

 

そして鉱物マニア垂涎の的といえば菱マンガン鉱。青森県の尾太(おっぷ)鉱山産の美しさには適わないが、これはこれで菱餅のような結晶がたまらなく美しい。小学生の頃に鉱物に魅せられたのは、この菱マンガン鉱と蛍石だったなあ。

 

「全然理解できん」サル

 

 

菱マンガン鉱重晶石の複合標本なんてものもある。マンガン含有量47.8%。白くて扁平な結晶が重晶石で硫酸バリウムが主たる成分。産業用途の高い鉱物だけど、国内産は採算に乗らないからね。でも現在のように、国際関係が不安定になると、レアメタル問題は必ず浮上する。鉱物標本は時代を表す鏡でもある。

 

遂に訪れた尾去沢鉱山。イベントなどを企画して頑張っている。ちょっとでも気になった人は是非訪ねて欲しい。観光はこれにて終了。道の駅かづので車中泊して翌日の沢登りに備えた。

 

「まだ九月の記録きゃ」サル 先は長いのう…

 

(つづく)

 

ご訪問ありがとうございます。