旅の思い出「浄土ヶ浜」(岩手県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

浄土ヶ浜

 

往訪日:2018年6月24日

所在地:岩手県宮古市日立浜町32-69

ビジターセンター開館時間:8時~18時(4月~10月)

駐車場:第1~第3駐車場

アクセス:(車)盛岡市内より国道106号経由で約2時間

      (鉄道)JR山田線「盛岡駅」~「宮古駅」で約2時間

 

≪白亜の尖塔が並ぶ浄土ヶ浜≫

 

こんばんは。ひつぞうです。遂に抜釘(ばってい)手術の日程が決まった。もうね

ジジイだから仕方ないんだけど、全治六か月と云われた時はお先真っ暗って感

じだったなあ。それでもあっという間に時は過ぎ、遂に抜く日がやってきた。海外

では残置するのが普通らしいけど、神経質な日本人はやっぱり抜くらしい。あ~

あ、骨折、手術、抜釘と三度も痛い思いをするなんて、余程因業な前世だったん

だろうな(笑)。僕は。

 

★ ★ ★

 

話は変わって早池峰登山の翌日のこと。せっかく遠野まで来たので、宮古の

土ヶ浜まで足を伸ばそうということに(遠野は一度観光している)。陸中海岸の

中でも有名な景勝地だし、ジオマニアであれば一度は往訪しないとね。

 

遠野から国道340号経由で立丸峠を越えた。所どころに一車線区間もあるけど、

思ったより走り易い(現在バイパス工事中)。東京方面からは盛岡経由よりも、

このルートの方が時間短縮になると思う。

 

その後、清流・閉伊(へい)川に沿って海に出れば、そこが宮古の町だ。東日本

大震災で壊滅的な被害を受けたため、いまだに傷跡が随所に残る。だけど、県

外の僕らが応援しないと本当の復興は進まないよね。

 

「地元にお金を落とすだよ!」サル

 

おサルは買い物なんでしょ?干物にタコに野菜に。

 

「いえす。海鮮市場に寄って欲しいだよ」サル

 

 

午前10時に到着した。浄土ヶ浜は極端な言い方をすれば、ただの砂浜。なので

入場時間や入場料という制約はないんだよね。マイカー族は「浄土ヶ浜ビジター

センター」を目指そう。駐車場は三箇所に別れているが、センター前の第一駐

車場が一番大きく、周遊には便利。

 

ビジターセンター(無料)に行けば、ボランティアの方から地図がもらえるよ。

まずは詰所の先の遊歩道入り口からスタート(上の写真)。

 

 

落葉樹の森を進み、全体を俯瞰できる「お台場展望台」に向かう。

 

 

ナンブアカマツの疎林が見えれば展望台はすぐだ。

 

 

こんな感じ。この日も天気は好かったんだけど、僕らが写真を撮ろうとすると

なぜか雲が多くなるんだよね。

 

「ひつぞうが単に間が悪い生き物だからじゃね。おサルはそれに巻き込まれ

てるんじゃね?」サル

 

そうかなー。おサル、雨女って言われてなかった?

 

 

この真下に「ざっぱ船のりば」があって続々と出航している。いつもなら乗る

んだけど、この日は一気にY村まで帰るので、あまり時間の余裕がないのだ。

 

 

スイカズラがたくさん咲いていた。肉眼で見るのは初めて。これ黒い液果が実る

んだよね。筒状の花弁の奥に蜜があるので「吸い蔓」って云うんだって。砂糖が

ない時代には重要な甘味料だったそうだよ。そう言えば子供の頃、サルビアの

花弁を引っこ抜いては吸ったもんだ。悪童と云えば悪童だったな。

 

 

ざっぱ船乗り場まで降りて遊歩道を進む。客引きの兄やんに声を掛けられる

が、ここは我慢我慢。

 

「でも青いソフトクリームには興味津々だったよにゃ。見たよおサルは」サル

 

 

やあ仙台藩の松島にも負けない素晴らしい景色。

 

 

ようやく晴れ間が出てきた。よくよく海の底を観察すると、形の良いムラサキ

ウニが転がっている。

 

 

浄土ヶ浜の白い石は石灰岩じゃないんだ。これは火成岩に属する流紋岩って

云うんだよ。特に二酸化ケイ素(SiO₂)の含有量が多い。おサル、二酸化ケイ

素って知っている?

 

「ガラスの原料なんじゃね」サル

 

あたり!黒曜石の親戚と云えばいいかな。浄土ヶ浜周辺は中生代の白亜紀に

続く「古第三紀」に形成された古い地質。ガラス質で硬いから屹立した尖塔の

ような景観が浸蝕によって取り残されて生まれたんだ。

 

 

と感懐に耽っていると、ガキどもの大集団がやってきて、我さきにと海に飛び

込んでゆく。静かな凪の海を前に、古人の詠んだ風景に想いを馳せようとし

た浪漫チスト・ジジイは大激怒。当然僕のことである。

 

「雰囲気をぶち壊したのは判るけど、ここ、もともと海水浴場らしいよ」サル

 

えっ!ここ泳げるの?

 

知らんかった。それじゃ何もいえないのう。ま、多少なりとも早めに来て静かな

景色を味わえただけでもよしとしよう。

 

 

なお、周辺のレストハウスの類は全て震災による津波の被害で全壊したんだ

けど奇蹟の復興は成し遂げられていた。周遊には30分もあれば充分。ゴール

地点から第一駐車場まで無料周回バスが走っているので便利。綺麗なガイド

さんの説明付きなので是非利用しよう。

 

また浄土ヶ浜を俯瞰する絶景ポイントは斜面の上なんだけど進入禁止。プロ

の写真家だけに許可が与えられてるんだろうね。

 

ただ歩くだけでは勿体ない。時間があれば遊覧船に乗ってウミネコにかっぱ

えびせんを投げつけるのも一興だろう。

 

「それ松島だよ!」サル

 

あ、そうそう。松島で思い出したけど、この尖塔群は以前は美しい松島をなし

ていたんだけど、その殆どが折れてしまっていたね(古い写真と比較するとよ

く判る)。自然の驚異を感じた小一時間だった。

 

(終わり)

 

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