映画鑑賞「男たちの挽歌」(1986年) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

「男たちの挽歌」(1986年/香港)

 

監督:ジョン・ウー

脚本:ジョン・ウー

製作:ウォン・カーマン

音楽:ジョゼフ・クー

出演:チョウ・ユンファ、ティ・ロン、レスリー・チャン他

 

※ネタバレあり(画像は全てネットからお借りしました)

 

こんばんは。ひつぞうです。山旅を再開して思った。やはりブログは登山絡み

が書いていて一番愉しい。物語をゼロから作り上げる達成感がまったく違う。

それに較べて、映画や読書の備忘録系感想文は、気を抜くとあらすじをなぞ

っているだけになりがち。自分の感性で既成作品を再構築するのは難しい。

 

と云いつつ、久しぶりに映画の紹介(山にも行けないしね)。香港アクション

映画に新風を吹き込んだジョン・ウー監督の出世作だ。それまでの香港映

画と言えば、ブルース・リー、ジャッキー・チェン主演のカンフー映画ばかり。

型にはまっていて現代物は少なかった。

 

≪このスタイルが当時大ブレイクしたんだ≫

 

ジョン・ウーの新しさは斬新な映像表現。ロングコートとサングラスのスタイル

で、二丁拳銃を構えて敵陣に斬りこむ主人公。バラバラと散らばる薬莢の雨。

それを短いカットとスローモーションを交えて繋いでいく。この映像表現どこか

で観たことない?

 

「ぜんぜん」サル

 

ウォシャウスキー兄弟の「マトリックス」の映像表現だよ。かなり洗練されて

るけど。「男たちの挽歌」と較べると。

 

(参考画像)

 

ジョン・ウーの(現実的ではないけど)魅せるガンアクションは、同時代のハ

リウッドのディレクター達に多大な影響を与えたんだ。ストーリーはむしろ平

凡。身内の罠に嵌められ、組織を追われた香港マフィアの主人公ホーが、

殺された父の敵討ちと、兄を恨む刑事の弟に、堅気になった証を立てるた

め、無二の親友マークとともに敵陣に乗り込んでいく。判り易い復讐譚だ。

むしろブルース・リー「ドラゴン怒りの鉄拳」と変わっていない。この類型

高倉健藤純子らの日本の仁侠映画に源流があり、タランティーノなど

がその影響も強く受けているのが作品を観ると判る。

 

≪お命頂戴致しやす。バッサバッサと敵を斬り捨てていく健さんがカッコよかった≫

 

≪緋牡丹のお竜。寺島しのぶと菊之助の母君どすな≫

 

★ ★ ★

 

製作された頃、日本はちょうどバブル全盛期。登場人物のファッションやヘア

スタイルは往時の日本と酷似している。巨大な携帯電話は某お笑い芸人のネ

タになっているし、確かに風俗は古臭い。音楽は「ドラゴンへの道」を担当した

ジョゼフ・クーなんだけど、劇中に流れる音楽が日本のムード歌謡みたいで、

聴いていてこっ恥ずかしくなった(笑)。

 

「おサルも肩パッド入りのスーツに巨大なイヤリングつけて夜の街を闊歩

してたにゃ。ベリー愉しかったにゃ」サル

 

はいはい。もう過去だし。

 

★ ★ ★

 

あらすじは以下の通り。

ニセ札製造で巨大シンジケートを築いた香港マフィアの若頭ホーは、病気の

父親と警察官になった弟のために、台湾での取引を最後に堅気に戻ろうと決

心する。

 

≪偽札で煙草の火をつけるチョウ・ユンファ≫

 

ところが、何者かの裏切りによってホーは逮捕。ともに組織を支えてきた親

友マークは、その復讐の返り撃ちにあい、片足を失ってしまう。シンジケート

の発覚を恐れた組織によって父親を殺された弟キットは、服役を終えて戻っ

てきたホーを赦さなかった。タクシードライバーとして市井の人になったホー

の許に、かつての子分で組織のナンバー2に成り上がったシンが、新たな

ヤマに手を貸すように、卑怯な手を使って迫ってくる。

 

≪どことなく眼がブルース・リーに似ているティ・ロン≫

 

弟を危険から逸らすために、ホーはマークと組んで組織と闘い、シンの一

派を殲滅するが、銃撃戦のすえマークを喪う。全てが終わった時、ホーは弟

の手錠を自らかけて、法の裁きを受ける覚悟を決めるのだった。

 

≪ラスト近くで兄の想いをキットは理解した≫

 

★ ★ ★

 

チョウ・ユンファやレスリー・チャンなどは、本作でスターダムにのし上った。

ちょっと童顔なチョウ・ユンファはよくメディアで見る様になったけど、その後

然程の作品は残していない。なお、本作に関しては、日本や韓国などでも

大ヒット。続編も製作された。これら一連の作品は「香港ノワール」と呼ばれ

ているんだよ。

 

「ふ~ん。女子にはまったく良さが理解できないにゃ」サル

 

チョウ・ユンファ演じるマークはラストで銃弾を浴びて死ぬんだけど、次回作

「男たちの挽歌Ⅱ」ではその双子の弟として再登場。御都合主義的な展開

はいかにも商業映画的で頂けないけど、この“男のメロドラマ”は決して嫌い

ではない(笑)。健さんの昭和残侠伝シリーズのような懐かしさを感じたな。

 

(おわり)

 

【僕の感想】

芸術性-----

衝撃性★★★--

斬新性★★★★-

娯楽性★★★★★

 

いつもご訪問ありがとうございます。