ここへ来て帰宅困難地域ではなく帰宅不能地域を明確にする動きが加速している。
「困難」と「不能」の違いは?
【政府・与党が帰還不能地域明確化へ、追加除染に慎重姿勢】
ロイター
[11/6 16:59]
[東京 6日 ロイター]
東京電力福島第一原発事故を原因とした避難が長引く被災者に対し、政府・与党内では帰還不能地域の明確化を求める意見が広がり出した。
除染を継続しても効果の少ない地域が明らかにつつあり、国費投入の膨張を抑えるためにも現実的な対応が必要との見方が背景にある。
ただ、被災地からは早くも反発する声が出ており、今後の政府・与党内の意見調整は、なお曲折がありそうだ。
自民党の石破茂幹事長は2日、札幌市で講演し「この地域は住めないが、こういう手当てをすると、いつか誰かが言わなければならない」と述べた。
5日午前の記者会見でも、被災者の帰還について「希望も見通しもなく今のままの状況が続くのだけは避けなければならない」と述べ、帰還できない地域をいずれかの時点で明確にする必要があるとの認識を示した。
茂木敏充経済産業相も5日に「様々な思いにこたえられる選択肢を提示したい」と、石破幹事長の発言を追認した。
いずれも、希望する人は全員帰還することを前提としていた政府の方針転換の可能性をにじませたかたちだ。
自民党の東日本大震災復興加速化本部(大島理森本部長)が10月31日に了承した「提言」で、帰還可能な区域を優先した除染を政府に求めており、早ければ今週末にも政府が「提言」を基に原発被災地の支援見直しを検討。
11月末をメドに政府案をまとめる予定だ。
放射線量が高く下がりにくい地域の住民の移住をいかに支援するか検討し、政府案の中に基本方針が盛り込まれる予定。
現在は原則的に東電負担である廃炉処理や汚染水問題で、国が前面に立って支援体制を刷新するとしても、除染コストを一定に抑えなければ、国費投入による支援も難しいと認識が、政府部内で広がりつつあるという事情がある。
同時に除染基準の見直し機運も高まりつつある。
国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが10月21にまとめた報告書では「1─20ミリシーベルトの範囲内のいかなるレベルの個人放射線量も許容しうる」と指摘した。
年間追加被爆線量を1ミリシーベルトとする政府の長期目標について「必ずしも達成する必要はない」とし、1ミリシーベルト基準は「除染活動のみによって短期間に達成できるものではないことを、もっと住民に説明すべき」と明記した。
環境省も、過去2年半の除染活動を通じて、除染による線量の低減効果が大きくないことが徐々にわかりつつあるとして、追加除染には消極的なスタンスに傾いている。
政府が検討中の支援見直し案でも、現在計画された除染(2013年度末までの予算計上分で1兆5000億円相当、総額3兆円程度の見通し)を超えた、追加除染は原則行わない方針。
避難住民の帰還後に必要な学校や公園、道路の整備という形で、事実上の除染を行い、資金は所得税や法人税の増税で用意した復興財源の余剰分を充てる案が有力となっている。
環境省が福島県3町の9箇所を候補地としている汚染廃棄物の中間貯蔵施設は、電源開発促進税を軸にエネルギー対策特別会計で負担する方式を軸に早期の建設を進める方針となっている。
ただ、帰還不能地域を明確に線引きするのは「現実的には難しい」(政府・与党関係者)。
同地域の対象になりそうなのは、年間被爆線量が50ミリシーベルトを超え、除染による線量低減が難しいと判断される地域が軸になりそうだ。
だが、帰還後の生活を考慮すると、生活インフラの集中する中心地域の中で、線量が高い市町村も、検討対象となる可能性があり、簡単に結論が出ない展開も予想される。
世論の理解をどこまで得られるかも未知数だ。
5日の石波幹事長の発言直後には、発言の真意について別の党幹部に早速問い合わせがあった。
(竹本 能文;編集 田巻 一彦)
【「帰還しない」選択肢も=原発事故の避難住民支援―茂木経産相】
時事通信
[11/5 10:36]
茂木敏充経済産業相は5日の閣議後記者会見で、東京電力福島第1原発事故で避難した周辺住民の帰還支援策をめぐり、帰還を断念した住民に他の地域への移住支援策を用意する必要があるとの考えを明らかにした。
経産相は「帰還までに長期間かかる方々の中には、もう戻らない、もしくは迷っている方の割合は当然多くなる。
そういうことも踏まえ、さまざまな選択肢を用意したい」と述べた。
2011年3月に起きた福島第1原発事故に関して歴代の政権はこれまで、被災者の全員帰還を目指し、「周辺住民が帰還するまで原発事故との闘いは終わらない」(野田佳彦首相=当時)などと説明してきた。
茂木経産相の発言は、震災から2年半を経ても原発付近への早期帰還が見込めない住民が多数いる現実を踏まえ、全員帰還は困難との認識を示したものだ。
【自民・石破幹事長「帰還不能地域の明確化を」 】
産経新聞
[11/5 11:54]
役員連絡会に臨む石破茂幹事長=5日午前、国会内
自民党の石破茂幹事長は5日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発事故で避難した被災者の帰還について、「希望も見通しもなく今のままの状況が続くのだけは避けなければならない」と述べ、いずれ帰還できない地域を明確にする必要があるとの認識を示した。
党復興加速化本部は10月31日に了承した提言で、帰還可能な区域を優先した除染を政府に求めている。
これを受け、石破氏は2日の札幌市での講演で「この地域は住めないが、こういう手当てをすると、いつか誰かが言わなければならない」と述べた。
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今まで2度と帰れないと明確にしなかったのは、避難住民への配慮なのか?
原発事故の悲惨な現実を浮き彫りにしたくなかった政府の策略とも思える。
【「もう故郷に帰れないと思ったほうがいい」チェルノブイリの“いま”から学ぶ福島の未来】
Business Journal
[11/5 19:22]
『NNNドキュメント』公式サイト(日本テレビ HPより)
ドキュメンタリー番組を日々ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で“裏読み”レビューします。
【今回の番組】
10月28日放送『NNNドキュメント~3.11大震災シリーズ チェルノブイリから福島へ 未来への答案』(日本テレビ系)
ドキュメンタリーは、未来を撮ることはできない。
カメラを向けられるのは今、この瞬間でしかなく、現在を素材として構成するのが主だ。
「今」と向き合うのはドキュメンタリーの宿命、またはドキュメンタリーならではの手法だ。
そして、それこそが僕には魅力的に見える。
『NNNドキュメント~3.11大震災シリーズ チェルノブイリから福島へ 未来への答案』は、通常の30分枠ではなく55分枠として放送されていることからも、制作者の並々ならぬ狙いが感じられた。
そして、その予感は当たった。
僕は見終えた時、これはテレビだからこそ制作が可能なドキュメンタリー番組だと思った。
番組はまず、ウクライナのスラブチチ駅の様子を映す。
早朝、多くの人々が電車を待っている。
27年前にはなかったこの駅は、チェルノブイリの原発事故の2年後、突貫工事で町がつくられたのに伴ってできた。
50キロ離れた仕事場に、ほぼ全員が向かう。
原発の廃炉工事のためだ。
車窓の風景が異様だった。
放射性物質の付着を避けるために松は皮が剥ぎ取られ、全滅した白樺の林や、強制移住で捨てられ廃墟となった家は、まるでホラー映画の舞台のよう。
カメラマンは手にしたガイガーカウンターを映す。
チェルノブイリ原発に近づくにつれ、数値が上がる。
ここでは2700人もの人々が働いているという。
駅に改札口はないが、出口にあるゲート型の体表面モニターの前を通ることになる。
ここで放射能汚染がないかをチェックするのだ。
汚染があればゲートは開かない。
まるでSF映画のような光景だが、これは現実だ。
そして、番組はチェルノブイリを通して日本を問うのだ。
●事故から27年たったチェルノブイリに、福島の未来を重ねる
科学ジャーナリスト倉澤治雄が、事故を起こした4号機の前に立っている。
彼は福島の原発事故後、日本テレビのニュース番組で解説をしていたので僕もよく知っている。
番組は彼の視点を通してチェルブイリの「今」を記録する。
石棺で封じ込められた制御室に入ると、事故直後から時間が止まっているかのようだ。
人間たちは溶けた核燃料を封じ込めることしかできなかったのだ。
だが、汚染水は漏れ続け、年間1000トンは行方がわからないという。
ここで思い出されるのが、今も続く福島の汚染水問題。
番組は自局で放送されたニュース映像を挿入し、チェルノブイリと福島をリンクさせた。
つまり、福島の27年後を映し出そうというのが本番組の狙いなのだ。
冒頭にも書いたように、ドキュメンタリーは未来を撮ることはできない。
しかし、過去に起きた事例を基に、未来を探ることは可能だ。
福島の未来を知りたければ、チェルノブイリと向き合うべきだとして、両者を重ね合わせる驚くべき手法。
特別に入場が許可された施設で、放射線量を分単位でチェックしながら撮影を続けるスタッフと倉澤氏のレポートに覚悟を見た。
●原発作業従事者を素人同然のまま現場に送り込む東電
スラブチチには、原発施設で働くための訓練センターがある。
ここで国家試験を受け、合格しないと収拾作業に携わることはできない。
試験を受ける人の多くは、給与が目的だ。
ロシア語と英語で作成された問題は、専門知識がなければ解くことができない。
倉澤氏も挑戦したが、不合格だった。
チェルノブイリで働く人々には女性も多く、服装もごく普通だ。
彼らは除染されている場所とそうでない場所とを理解しているし、知識があるからこそ過度に恐れない。
しかし常に心理テストを受けて、自分の心の弱さとも向き合う。
人為的なミスが事故の原因となることがわかっているからだ。
一方、原発事故後に福島第一原発で働いたことのある作業員に話を聞くと、彼らはごく簡単な説明を受けただけで作業をしていたという。
東京電力が用意したテキストには可愛らしいイラストで作業工程が描かれているが、逆に恐ろしい。
素人同然の日本の作業員は、線量オーバーで働けなくなり「東電から『被ばくするだけすればいい』と言われているように見受けられた」と告白する。
チェルノブイリから避難させられた人が「福島の人も、もう故郷に帰れないと思ったほうがいい」
「新しい人生を始めなさい」と言っていた。
彼らはいつか帰れることを信じて27年過ごしてきたが、もうあきらめている。
チェルノブイリは過去の出来事ではない。
現在も進行中であり、世代を超えて解決しなければいけない問題だ。
それも、世界が注視する中で。
番組は安倍総理が「汚染水による影響は福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲の中で完全にブロックされています」という報道映像で終わった。
27年前の出来事の悲惨さと、人間の無力さを見せつけられた後に、この言葉を聞いても虚しさしか感じられない。
つくり手の強いメッセージと共に、テレビの底力を感じた。
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よく、専門家は、チェルノブイリ原発事故と福島第一原発を比較出来ないと言う。
しかし、そこに住んでいた住民の立場は同じだ。
原発事故と言う出来事で全てを失ったのだ。
福島第一原発では、4号機の使用済み燃料の取り出しが始まろうとしている。
しかし、これは何十年掛かるか分からない廃炉作業へ向けたほんの第一歩に過ぎない。
完全に溶け落ちた核燃料を取り出し完全な廃炉が終わるまで何が起こるか分からない。
たとえ住民がが帰還したとしても、福島第一原発の方を見ながら常に危険と隣り合わせで暮らさなければならない。
勿論、帰還するしないは住民の意思を尊重しなければならないが、政府は、2度と戻る事が出来ない場所がある事実を住民に丁寧に説明する義務がある。
そして、それが原発事故が引き起こす悲劇だと言う事も…
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