【参院選終了、しかし原発再稼働は国政では決まらない】
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もんじゅ君
参院選が終了して、「もんじゅ君、自民党が勝って残念だったねぇ」とたくさんの方にいわれました。
ボクは高速増殖炉として、つねづね
「はたらきたくないよ」
「おしごとやめたいよ」
と後ろ向きの発言をくりかえしています。
なので、原発をぶんぶん再稼働していくつもりの自民党さんが大勝したことはたしかに残念なことかもしれません。
しかし、ものごとには期待値というものがあります。
選挙期間中、ずっと「自民圧勝」ときかされてきた以上これはさほど驚きのある結果ではなく、残念というよりはひとつのできごとが終わって落ち着いた感じさえします。
(選挙期間中、脱原発を掲げる候補のごく一部には極端な言説に走る人もいたため、十把一絡げに「脱原発=極端」というイメージがひろまったら悲しいなぁ、とハラハラしていたというのもあります。
それが終わったことにはちょっとほっとしました。)
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ところで、もし「衆参のねじれもなくなり、自民党が両院で与党になった。
これでどんどん原発再稼働がすすんでしまう」と思っている人がいたら、ちょっと思い出してみてほしいのです。
去年の福井県の大飯原発3号機、4号機の再稼働の「決定」について憶えているでしょうか?
あのとき、再稼働の決定を最終的に出したのはいったい誰だったのでしょう?
誰のゴーサインが最後の決め手だったのでしょうか。
内閣でしょうか?
経産省でしょうか?
関西電力でしょうか?
福井県でしょうか?
敦賀市でしょうか?
これがほんとうにわかりにくいのです。
再稼働に、正式に「ゴー」を出すためにあのとき、予定されていなかった会合や会談が何度もひらかれました。
それらの打ち合わせではなにが話されていたのでしょうか?
もしかして、なにも話されていなかったのではないでしょうか。
きっと、「話し合いの場を持った」という事実そのものをつくるためになんども会合が重ねられたのです。
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はたしてほんとうに動かして大丈夫なのか?
直下型地震がきたときに耐えうるのか?
過酷事故が起きたときに対応できるのか?
重要免震棟は?
防潮壁は?
住民の避難は?
ヨウ素剤の配布と服用は?
そもそも、電力はほんとうに足りないのか?
(ちかごろでは、二度の夏と冬をすでにすくない原発で乗り切ってしまったため、足りないという話さえもしなくなってきました……)
こういったたくさんの疑問に対して、当事者であるはずの内閣も、所轄官庁も、事業者も、自治体も、みんな自信をもって答えることができません。
だから、再稼働に責任をもちたくない。
だけど、再稼働はしたい。
その矛盾した思いがなんども繰り返された話し合いにあらわれていたのだと思います。
みなでパスを回しまくり、もつれこむようにして再稼働というゴールへなだれこんだためにだれがシュートしたのかわからない、という作戦です。
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北海道の泊原発、福井の大飯原発、高浜原発、愛媛の伊方原発、佐賀の玄海原発、鹿児島の川内原発、これらの6原発、12基の原発についてこれから原子力規制委員会による再稼働の審査が始まります。
当初は、1基あたりすくなくとも半年から一年程度の審査期間が必要で同時には3基程度しかすすめられない、という話でした。
しかし、再稼働の申請時には北海道電力の副社長が「冬の需給は厳しく、1基でも稼働できれば」
関西電力の常務が「できれば全部同時に審査していただきたい」
と語るなど、電力会社も自民党政権になってからは強気で前のめりの姿勢を強めています。
どれくらいの時間がかかるのかはわかりませんがはやければ冬をむかえる前に「再稼働してもよい」というお墨付きを与えられた原発がでてくるかもしれません。
しかし、それはイコール、再稼働を意味するわけではありません。
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原子力規制委員会が審査をして「ノー」がでれば、それはあくまでも「ノー」です。
基準を満たしていないのだから、そんな原子炉は運転できません。
しかし原子力規制委員会の「イエス」はそのまま「イエス」ではありません。
物理的に「イエス」だ、という判断は出せても規制委員会が再稼働の政治的な責任まで負うわけではないからです。
2012年夏の大飯原発再稼働でそうであったように原発立地県の知事は「しっかりと総理に責任を持って再稼働をすすめていただきたい」というような表現で「あくまでもこれは国の決定、国の責任なんですよね。
県はお国のために電力を供給するのです。
運転についての決定責任はないのです」
とアピールしながら、再稼働へのゴーサインをねだるのではないでしょうか
(自治体の首長さんへの意地悪な表現になってしまってごめんなさい)。
そのとき、立地自治体ではどのような反応が起こるのか?
なにも起こらないのか?
それとも
「事故が起こらないと確約できるレベルになるまではやめてくれ」
「万が一、事故が起きたときの事故収束と避難のプランを示してくれ」
というふうに、再稼働にストップをかける抗議運動がでてくるのか?
そこが再稼働のいちばんのポイントなのではないかと思うのです。
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日本は、国としては脱原発を決めていませんがいまはほぼ事実上、脱原発を果たしてしまっています。
50基ある原発のうち、もうずっと1年以上、関西電力のもつたったふたつの原子炉しか動いていません。
北海道電力、東京電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力の供給エリアではすでに1年以上の脱原発の実績があるのです。
関西電力についても、稼働している大飯2基がなかったとしても2012年夏の需要は満たすことができた(=もし原発がなくても、一年でいちばん電力の必要になる季節でさえ足りていただろう)と当の事業者が昨年の秋にみとめています。
歴史的で感動的な政治的決定などなくてもこの「事実上の脱原発状態」をいかにずるずるとなんとなくつづけていけるのか、事実上の「なくても足りてしまっている」期間をのばしていけるのか、はじつは個別の立地自治体の態度にかかっているのではないかと思います。
だから、原発再稼働は国政では決まらないのです。
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たとえば県知事がしっかりと事業者である東電への不満、不信を口にしている新潟県。
けっきょく東電は柏崎刈羽原発の再稼働申請をまだ出せていません(参院選後には出すという見方もありましたが、どうでしょうか)。
県知事がアピールするだけで、もう再稼働申請のハードルはぐっと上がるのです。
県知事がそうでなくても、再稼働の申請がみとめられたあとでもそういった局面はいくつもあるはずです。
ひとつひとつの原発をかかえる町を、市を、県を、いかに原発なくてもやっていけるように応援していけるのか。
いざ再稼働がさしせまったときに、「ほんとうに危なくないのか?」という疑問をいかに地域の内側から効果的にアピールし、日本全国にむけて発信することができるのか。
そういうところで再稼働のじっさいはきまっていくのではないでしょうか。
だからいまの状況では、衆院選や参院選といった国政選挙で再稼働が決まるわけではないのです。
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脱原発は、安全とか被曝とか放射能といったキーワードだけではある程度までしかすすめないかもしれません(もちろんそれらのトピックはほんとうに大切なことです)。
脱原発は、エネルギーの問題でもありますが、原発をかかえる新潟や福井のような立地自治体にとってはまさに「おさいふ」の問題でもあります。
これまで原発にともなう交付金や寄付金で財政をたすけられてきた自治体がどうやって納得感をもってそれとバイバイすることができるのか(現実的には代わりのお金が必要でしょう、そしてそれこそ国政が決めることでしょう)。
今回の参院選、都市部では脱原発候補が躍進しました。
都会にはあれだけの数の危機感を持つ人たち、候補に共感する人たちがいて投票というアクションを起こしたのだ、ということにボクは驚きましたし、とてもすごいことだと思います。
そういったうねりがどうすれば立地自治体の「背に腹は代えられない」「でもやっぱり心配。こわい」というリアリティのある気持ちと結びついていけるのか、(それともそのふたつはやっぱり別のものでいっしょにはなれないのか??)いまはそれが気になっています。
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原発の問題は「都会といなか」の問題でもあります。
電気をつくる工場を「これはあぶないから、都会から離れてる場所、でも運ぶのにはちょうどいいくらいの場所につくろうよ」と、
福島とか新潟とか福井といった大規模消費地から「遠すぎないいなか」にいくつも建てたのです。
そして、その県のなかでもとくべつ人のすくないあんまり産業のないところを選んでその工場は建ちます。
「都会が原発をいなかにおしつけた」というようなことをよくいうけれどもいなかの中にも、さらに都会といなかがあるんです。
原発銀座は福井の中でもとくにいなかのほうにあるからおなじ県内でも、遠くの県庁所在地あたりの人とかはあんまり原発のことを気にしていなかったりします。
原発にはそういった「都会/いなか」の関係が何重にも入っています。
原発事故が起きていまだ収束せず2年と4か月、昨夏の首相官邸前など、再稼働への抗議行動の盛り上がりから1年。
もしかして脱原発をめざす動きのなかじたいにもまたしても「都会/いなか」の対立ができてしまうんじゃないだろうか……。(杞憂だったらいいと思いますが)
なるべく多くの人たちで問題意識をシェアしていくにはどうしたらいいんだろう、と考えた参院選の期間でした。
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原発再稼働で「地元」が期待する原発マネー。
しかし、その原発マネーは、一般電気利用者が電気料金として支払っている事を忘れないで欲しい。
リスクを伴う原発マネーより、安全な代替マネーがあれば「地元」も原発はいらないとなるののでは?
雇用にしても廃炉に伴う雇用と、その間に代替エネルギーの構築で新たな雇用を生み出す事も出来る。
ただ、それも国策として脱原発を宣言しなければ始まらない話しだ。
安倍首相は、もはや電力逼迫とは言わない。「安定的な電力供給…」しか出て来ない。
今現在でも電力は安定しているのに…
【古賀茂明氏 電力会社が節電キャンペーンをしない理由を明かす】
NEWS ポストセブン
[7/24 07:06]
記録的な猛暑が続く日本列島。
ところが、昨年までとは一転、意外なほど「節電」のかけ声が聞こえてこない。
なぜなのか──。
「実際に電力は足りているし、電力会社としても本音では節電キャンペーンはやりたくないんです」
と、明かすのは、元経済産業省職員の古賀茂明さん(57才)だ。
「たしかに震災直後の2011年の夏は、突然原発が止まり、火力発電の設備も被害を受けたので、東京電力は大変でした。
しかし、2年目になると、小さな火力発電施設の電力を集めるなどして、電力不足をなんとか解消したんです」(古賀さん)
この間の節電キャンペーンで、家庭でも企業でも節電が進み、企業では自家発電を導入するところも急増。
結果、この夏の猛暑日でも電力受給に10%以上余裕がある状態が続いている。
「だから、この夏に電力が足りなくなる可能性はほとんどありません。
原発の数が最も多い関西電力を中心に、電力各社は原発を動かしたいので、“電気は足りています”とは言いたくない。
しかし、原発を再稼働させると電気が余ってしまうから、実はどんどん使ってもらいたい。
節電をお願いしますと言いながら、本気で節電を要請したくないという、ジレンマに陥っているんです」(古賀さん)
もちろん、エアコンの使用を我慢しすぎて熱中症になるような節電は無用。
“ほどほどの節電”でも、原発の再稼働なしでやっていけるのだから。
※女性セブン2013年8月1日号
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