公的年金と私的年金 | 国民健康保険と国民年金の話し

公的年金と私的年金

 今日から、国民年金(基礎年金)の積極的な面を考えてみましょう。

今回考えたいことは、公的年金と私的年金のちがいについてです。

国民年金は国に積み立てる公的年金ですが、それとは別に、私的年金というものがあります。
つまり、個人的にある企業や団体と契約して、年金を積み立てていくという形です。国民年金
が確実にもらえるかどうかわからないという不信感から、この私的年金ががぜん注目されるよ
うになりました。

気持ちとしてはよくわかるのですが、冷静に考えれば、どちらが安心かは明白だと思います。
私的年金は、民間が運営母体ですから、いつ潰れるかわからないという不安材料を常に背負っ
ています。近年の生命保険会社はおしなべて、経営の健全度を表示するようになっています。
「うちの保険に入れば、保証は間違いありませんよ」というアッピールの指標です。

しかし、
これは裏を返せば、集めた保険を払えなくなる可能性もあるということです。民間は常にそういう
危険性を背負いつつ、経営の努力をしています。でも、今は銀行も潰れる時代ですから、実際には
何がおこっても不思議はありません。そう考えると、私的年金は絶対安心と誰が言えるでしょうか。

もう一つは、私的年金は、物価スライドに対応していないということです。
契約時と年金をもらう時期とに、どんなに貨幣価値の変化があったとしても、私的年金は契約時の
金額しか保証してくれません。しかも、生きている間、ずーっと保証されるというものではなく、基本
的には、掛けた分と利息分を受け取れるという形のものでしかありません。

それに対して、
国民年金は公的年金で、国が責任を持っている年金制度です。つまり、日本という国が滅んでしま
わない限り、存続し続ける制度なのです。「国なんか当てになるか」という声も聞こえてきそうですが、
国民の生活を支える基礎年金を、もし国が反故にしてしまったとしたら、それこそ大暴動が起こるで
しょう。国はそんなことは逆立ちしてもできないのですから、年金制度を何としても死守しなければな
りません。そういう訳で、民間よりも公的年金の方が、遙かに安全だといえるのです。

さらに、国民年金は物価スライドに対応する仕組みを持っていますから、現実の貨幣価値に見合った
年金が支給されることになっています。国民年金が始まった頃の掛け金はひと月100円でした。もし、
掛けた金額に見合った年金を支給されるとすれば、とても今日の生活には対応できなかったと思い
ます。決して充分な額とは言えませんけれども、この物価スライド式の年金によって、今日の国民の
生活が支えられていることは事実なのです。

もう一つは、この公的年金である国民年金は、一生もらえるということです。
これはすごい事だと思います。
今の計算では、8年ちょっと年金をもらい続けると、20~60歳までの掛け金を全部もらってしまうこと
になります。つまり、73歳で掛け金をすべてもらってしまいますから、もし81~82歳までもらうと2倍、
90歳までもらい続けると3倍ももらえることになります。生きている間、保証されるものがあるというこ
とは、何と心強いことでしょうか。

ハイ。今日はここまでとします。