2010年4月

予定の時間より一時間も早く着いてしまった
いつも、約束の時間に遅刻することはあっても早く来た事など一度もなかったヤマトが、なぜ今日に限って早いのか
それは、今日はあの娘に半年振りくらいに会える日なのだ
人を待つという事を今までした事がないヤマトも時計をチラチラ見たり青空の下、通り行く人達を観察したりしながら人を待つ
経験ある人も多いだろうが何故か好きな人を待っている時間は嫌な気分にならないもので
ヤマトも例外ではない

「でも、あれからもう半年以上たつんだなぁ 今思えば…」これから物思いに更けようかと思っていた矢先、ヤマトをいきなり引き留めるかのように、遠くの方からヤマトを呼ぶ透き通った声が聞こえてきた



「ヤマトく~ん♪」

遠くの方から、手を振りながら、長い髪を風になびかせて凄い勢いで自転車を漕いでくる娘がいた

こちらも、30分前の到着だ

「お~パー久し振り~!志帆里じゃないか、そんな息切らす激しい運動して大丈夫なのか?」

「はぁはぁ、だ~って~ヤマトくんに、会いたかったんだもん」
「それに、もう治ったんだって」

「そっか…そうだったな」
志帆里の病気は、半年も前に治っている。しかし、ヤマトの脳裏には志帆里との出会いが、強烈に刷り込まれている為、なかなか今の元気な志帆里を受け入れる事が出来ないでいるのかもしれない

「先に着いて待ってたかったのに、ヤマトくん もう来てるんだもんビックリしちゃったラブラブ!

「お、俺もさっき来たとこなんだ(^_^;)」
早く会いたくて一時間も前に着いたとは言えないヤマトだった

志帆里は好意全開に対して、ヤマトはわかってても言えない   志帆里と呼ぶのにもなんとか馴れてきたレベルで、今日から大学生の18才にしては、かなりのものだ

端からみればなかなか変なカップルだ、さえない男に、才色兼備 体の弱い?お嬢様
この二人が、出会ったきっかけが昨年の高校最後の夏休み、ヤマトが友達と旅行に行った先での事件だった


…………………………………………