伊藤の回想
伊藤
私の名は伊藤鴨太郎・・。
君達の名前と顔を私は忘れない。
例え歴史の表舞台に名を生き様を残せなくとも
今の真撰組は近藤局長と共に武州から奴等しか
出世しない活躍もできない。
私もその一人だ。だが！武士とは侍とは！
そんな誰かが決めたモノサシで出世が決まり
活躍する舞台が決まるのか？
否！そうであってはならない！
私は真撰組を改革する！
例え後世に悪名を残そうとも！
汚名を着せられようとも！
護りたい誰かを護る為なら立場など身分など、
関係ないはず。
武士の誇りを抱き刀を振り散華しようとも
私、伊藤鴨太郎は後悔しない！
その先に真撰組の未来があると信じるだけだ。
回想終わり
銀さん あいつは裏切り者に
なりたいんじゃなくて・・
良い奴になりたかったんだな。
高峰 私達は・・ここに居る奴等は！
伊藤さんを信じた！
私達は伊藤さんの夢見る真撰組を
その未来を信じたかったんだ！
身分や立場なんて関係なく
活躍できる侍になりたかった！
近藤 伊藤さんはどうして何故だ！
腹を割って胸の内を明かしてはくれなかった
俺はもっと色々な事を教わりたかっただけだ
土方 ちくしょう！なんだってんだあの野郎！
どうして俺達は・・
伊藤の野郎ともっと、
何か話せば良かったってのかよ！
沖田 どうして鬼兵隊なんかと手を組んだ！
近藤さんの命を狙ったってんだ！
高峰 伊藤さんはこんな事を話してました。
伊藤と高峰が車中での会話。
回想
伊藤 私は小器だったのか？
もしそうだとしたら？
高峰 そんな事はないですよ。
伊藤 私の知らない誰かが近藤の味方が
私の目的を阻むとしたら？
高峰 私達は伊藤さんの味方ですよ。
伊藤 私の予想を覆す事態が起きたら？
私が汚れ悪名を馳せよう！
私は真撰組を裏切った男
伊藤 鴨太郎
真撰組の未来が確かだと信じて！
私が列車から離れたら、
君は戦場から離脱しなさい。
高峰 あなたは一人で何もかも背負うんですか
俺はあなたの隣では役不足ですか？
伊藤 高峰君。君は生きろ！
私が望んだ未来が真撰組にあると信じて
さらばだ！
伊藤が去る
回想終わり
高杉 よぉ・・高峰とかいったか？
てめぇが斬らないといけねぇのは俺だよ
伊藤って奴を焚き付けて真撰組を壊滅に
追い込もうとしたんだからな。
銀さん 高峰君・・それが本当なんだ。
真撰組が潰されたら？
俺達が困ると思ってな？
真撰組に協力したのさ。
新八 つまり？伊藤さんにしてみれば？
僕達が予想外の勢力でした。
神楽 伊藤さんの目的を壊したのは万事屋ある
高峰 皆さんですか？
高杉 てめぇの目的が仇討ちなら？
真撰組を壊滅に追い込もうとしたのも
仇を討つ為だったのさ。
新八 高峰さん？真撰組は将軍の護衛が
最優先任務だった事は知ってますね。
高峰 でも？護れなかったんでしょ？
銀さん その将軍様は茂茂公は天人って奴等の
手下というか人形みたいな存在だった
神楽 でも？将ちゃんは人形は嫌だと言えば？
命を狙われるしかなかったあるね。
高杉 俺はな、その天人ってゲス野郎達によ
師匠を殺されたと思ってたんだよな。
銀さん つまりな～この歌舞伎町ってのは？
将軍様というよりは？
その天人って奴等の天下だったわけ。
近藤 ところが俺達は？そんな事その時は、
何にも知る由も無かった。
高杉 つまり？
真撰組は俺の師匠の仇でしかない
天人の犬にしか見えなかったんだよ。
そんな奴等を潰して
何がいけねぇんだってな。
そう思ってたわけさ。
土方 高杉・・
伊藤さんを抱き込み焚き付けたのは？
てめぇかよ？何とか言ったらどうなんだ？
高峰 一つ言いたい事があるんだ！
そんな事はどうでもいい！
伊藤さんの味方は何故！何で
俺達みたいないうなればモブキャラみたいな
しかいなかったんだよ。
伊藤さんの理想の正しさを証明できるのは！
俺達しかいないのが悲しすぎるんだよ！
銀さん 過ぎてしまった事ではあるけれど？
未練は募るばかり。
理不尽な事に打ちのめされたから？
報われなかった者達に報いる為に？
選んだ道が武装蜂起によるクーデタか
喜喜が 銀さんと高峰の間に入る
喜喜 武器弾薬は切り刻まれ打つ手は無しか。
見果てぬ夢を見る愚かさに気が付くまで
御輿に乗るはずだったのだが・・。
坂本 ずいぶん早く壊れた御輿じゃ・・
喜喜 坂本か？天人共に一矢報いる為に、
一緒に居た頃が懐かしいな。
次郎長 おいらに対するあてつけかい？
物騒なモノは斬って斬って斬って
何がいけねえってんだろうな。
武装テロなんて止めときな。
この街に無駄な血も涙も
似合わないんだよ。
ピラ子 親父の言う通りさ。
悔しいのは分かるけどね。
でも劣勢になって初めて分かる。
あんたには「絆」ってのが、
あんたの敵より無かったのさ。
高杉 てめぇ・・高峰とかいったな。
俺を斬りな？
俺もただで斬られるつもりはないがな。
松平片栗虎が登場。後ろには服部とさっちゃん
松平 止めなぁ。真撰組も高峰一派も
万事屋とそのお知り合いの皆さんも
この場はこの松平に預けてくれねぇか。
全蔵 こんな事は茂茂も誰も望んでねぇよ。
武装蜂起によるクーデターとか
情けねぇ事しようとしやがって。
さっちゃん 真撰組は最後まで
茂茂公を護ろうとしたのよ。
確かに護れなかったかもしれない
でもね？いつも劣勢の立場ながら
一生懸命に戦った。
あなた方みたいに優勢に働きかけ
テロを謀るなんて真撰組のすることなの？
高峰 俺達には主人公になれる奴はいない！
名脇役になれる奴もいない！
武装蜂起によるクーデターなんて、
いかにもザコモブみたいな奴等が
考えそうな事ですね。
それでも！
俺達は無力ではいられなかった。
正義を通す為の力が必要だった！
俺達は真撰組と名乗れなかった！
名乗る時間さえなかった。
何の為に生き何の為に散華したのか！
言葉さえ吐くことも許されずに・・。
伊藤さんが夢見た真撰組を願える為に！
身分・立場関係無く！
護りたい誰かを護れる真撰組である為に！
それが俺達の正義だ！
松平 簡単な事だぁ・・
話し合いで済む世の中になってんだ。
武装蜂起なんて意味無いんだよ。