パークライフ 吉田修一
基本的に文庫本しか買わないので、書評を書いても本当に本が好きな人の書評とは、時期がずれてしまってちょっと寂しいです。「パークライフ」でアメーバブログの検索を行うと、たったの4件しかヒットしません…。(20000人近くの人がブログを書いているのにだ!)そこで5件目に成るべく、感想でも書いてみますよ。あ、ちなみに本当は「パーク・ライフ」って題名なので、点が間に入るのかな?と思って検索してみたのですが、結果「パーク」or「ライフ」で検索が走ってしまうらしく役に立ちませんでした。なので私も「パークライフ」と題名を書かせて頂きます。
芥川賞受賞作という事で、あまり深く考えず購入しました。ここのところ、電車の中では、他の本を読んでいたり、技術系の雑誌を読んでいたり、モブログに興じていましたので、結構前に買ったものの放置期間が長かったです。
で、ここ数日の通勤や寝る前に読み始めたのですが、ちょっとね。衝撃的でした。突然向かえるラストがあまりにも儚くて。「ああ、終わってしまう」という切なさに胸を締め付けられました。リアルな描写の切ない事ったら無かったわけですよ。
こう見えましても、江國香織さんの本とかが好きで、あの物語が始まりもしないし、終わりもしない感じ?そして時間だけは過ぎ去っていくような、まさにウチら普通の人の普通の日常なのに、キラキラしてて、どこか魅力的な世界感が私の胸を打つのです。吉田修一さんの本は初めてなのでなんとも言えませんが、パークライフはまさにその「始まりも終わりもしない話」の構成を成しているので、私的にヒットしてしまいました。
更に構成の妙。主人公が出会うスタバ女ですが、最後まで名前が出てきません。日比谷公園の近くで働いているというだけで、その業種だとか、細かい事は出てこないのです。主人公に名前があったかどうかも忘れてしまいましたが、スタバ女も主人公について、とやかく聞きません。
ここまでだったらよくある感じなのですが、このパークライフ、本当にしつこい程、人の名前が出てくるのです。先輩の「近藤さん」とか、主人公が留守中にお邪魔している「宇田川夫妻」とか、昔の友達とか、恋人のなりそこねとか、近所のおばちゃんとか、みんな名前を持ってるんです。そのバランス感とか、すごい小説だなぁと思いましたよ。
あと、複線みたいなテーマみたいな「人体」というネタ。駅の壁面広告から始まって、近所の雑貨屋で売ってる人体模型、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体解剖図、最後は心字池を心臓とする日比谷公園の人体描写まで行き着きます。と物語を一環してちりばめられた、なんかヒントみたいなテーマ?この辺のバランスもすごいなぁと。
この辺まで書くネタを考えて、後はどうやって、この本のすばらしさを伝えようかなぁと思っていたのですが、帯を見てしまって…。村上龍さんが、答えを書いていました。頭から離れないので、そのまま掲載します。著作権とかひっかかるんでしょうか?まあ、いいや問題あったら消します。
「何かが常に始まろうとしているが、まだ何も始まっていない」という、現代に特有の居心地の悪さと、不気味なユーモアと、ほんのわずかな、あるのかどうかさえはっきりしない希望のようなものを獲得する事に成功している。
兄さんっ!その通りだよっ!
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*19号のおはなし* 『パークライフ』 / 吉田修一
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直感ナンダコレ? パーク・ライフ
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で、ここ数日の通勤や寝る前に読み始めたのですが、ちょっとね。衝撃的でした。突然向かえるラストがあまりにも儚くて。「ああ、終わってしまう」という切なさに胸を締め付けられました。リアルな描写の切ない事ったら無かったわけですよ。
こう見えましても、江國香織さんの本とかが好きで、あの物語が始まりもしないし、終わりもしない感じ?そして時間だけは過ぎ去っていくような、まさにウチら普通の人の普通の日常なのに、キラキラしてて、どこか魅力的な世界感が私の胸を打つのです。吉田修一さんの本は初めてなのでなんとも言えませんが、パークライフはまさにその「始まりも終わりもしない話」の構成を成しているので、私的にヒットしてしまいました。
更に構成の妙。主人公が出会うスタバ女ですが、最後まで名前が出てきません。日比谷公園の近くで働いているというだけで、その業種だとか、細かい事は出てこないのです。主人公に名前があったかどうかも忘れてしまいましたが、スタバ女も主人公について、とやかく聞きません。
ここまでだったらよくある感じなのですが、このパークライフ、本当にしつこい程、人の名前が出てくるのです。先輩の「近藤さん」とか、主人公が留守中にお邪魔している「宇田川夫妻」とか、昔の友達とか、恋人のなりそこねとか、近所のおばちゃんとか、みんな名前を持ってるんです。そのバランス感とか、すごい小説だなぁと思いましたよ。
あと、複線みたいなテーマみたいな「人体」というネタ。駅の壁面広告から始まって、近所の雑貨屋で売ってる人体模型、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体解剖図、最後は心字池を心臓とする日比谷公園の人体描写まで行き着きます。と物語を一環してちりばめられた、なんかヒントみたいなテーマ?この辺のバランスもすごいなぁと。
この辺まで書くネタを考えて、後はどうやって、この本のすばらしさを伝えようかなぁと思っていたのですが、帯を見てしまって…。村上龍さんが、答えを書いていました。頭から離れないので、そのまま掲載します。著作権とかひっかかるんでしょうか?まあ、いいや問題あったら消します。
「何かが常に始まろうとしているが、まだ何も始まっていない」という、現代に特有の居心地の悪さと、不気味なユーモアと、ほんのわずかな、あるのかどうかさえはっきりしない希望のようなものを獲得する事に成功している。
兄さんっ!その通りだよっ!
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