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こないだ撮影していた作品の現場近くには、

黒々とした見事な桜たちがそのしなやかな枝を

川べりまで伸ばしていました。その枝の先々には

ぷっくりとした、春の声を待つピンクの蕾。

この蕾たちは、これから少しずつ、お日様や

雨や風に力をもらいながら、あの可憐な花々を

咲かせていくのですね。


人もそうであるかもしれません。

人は自分だけの力では前へ進めない。

言葉や景色や匂いや音楽やらに背中を押してもらって

少しずつ少しずつ成長していくのだと。

中でも特に言葉は、人を生かすものもあれば

殺してしまうものもある。

出来ることなら、前者を上げられる人でありたいと

常々願っている羊ですが、どれだけ実行できているかは…。


今回の稽古場で最も感じること。

それは「愛」です。

三谷さんの劇団員さんたちへの愛、

劇団員の皆さんの三谷さんへの、お互いへの愛、

スタッフさんたちのこの作品への愛、

制作さんの全てを包み込む愛、

そのどれをとっても、本当に涙がでるくらい温かいのです。

それは、ありがたいことにこの羊にも分けてもらっていて、

三谷さんは、先ず顔合わせの時こういう言葉を下さいました。

「今回は、吉田羊さんというサンシャインボーイズとは全く

縁もゆかりもない方がいらっしゃいます。皆さん、こんな人

いたっけ、とお思いの方いらっしゃるかもしれませんが、

居ませんでしたからね。これから、われわれの仲間に

なって下さる方です。」

この「仲間」という言葉が、どれだけ稽古場に私の居場所を

作ってくれたことか。

また劇団員の皆さんも、初日から、本当に温かく迎えて下さり、

すぐに「ひつじちゃん」「ひつじ」と名前を呼んで下さり、

一人として「よそ者」扱いをする方は居られませんでした。

きっと、東京サンシャインボーイズの魅力の原点はここである、とは

毎日稽古場に通っているものの実感です。


羊はまだまだお芝居が下手でございます。

けれど、三谷さんの演出はもちろん、劇団員の皆さんひとりひとりから

頂く言葉たち、感じるエネルギー、まあつまりそれらを総称すれば「愛」!

その「愛」を強く強く感じながら、この大切な公演をしっかりと、不肖ながら

わたくし吉田羊やり遂げたいと思います。


今私が過ごしている時間、それは財産である、と。


全てにありがとうございます。


以上吉田羊、3月の決意表明でした。