コトコト煮出す染液に、白い布と糸を浸しゆっくり染めていきます。一人ひとりの時間が想いと共に流れます。鍋の中に浸る布をゆらゆら揺らしながら、私は長いこと会えない母を想い、母とともにいました。時間をかけて、自然の恵みをいただいいた布と糸は、産まれたばかりの赤ちゃんの肌の色となりました。


 赤ちゃん人形を抱いたぬくもりが、あの時布を染めながら何を想い、何を感じていたか鮮明に蘇ります。私にとって、赤ちゃん人形の「手の記憶」は母なのです。まるで生まれ変わった私を、もう一度私がこの手で育てていくかのようです。ひょっとしたら、私であり、母なのかもしれません。
お人形は子どもの遊びのためのもの、、とは限りません。自分へ、我が子へ、子どもたちへ、お年寄りへ、大切人な人に想いをめぐらし生み出すもの。手を動かしながら、それぞれの想いで手仕事とともに、自分と向き合う。そんな時間が大切ですね。
 

 
手を動かし
手から感じて
生み出す
手の記憶

2022〜
シュタイナー手仕事教育協会
handwork_education
学びからの見通し
保育者として