初代じいちゃん院長先生の産科魂! | あつぎの森ブログ「厚木産婦人科日誌」

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厚木産婦人科でのいろいろをお伝えしていきます

 

 

先日、厚木産婦人科の入り口の看板のところで、

「記念に写真を撮っていいですか?」という患者様がいらした。

お母さんは、かわいらしい女の子を連れていた。

 

 

 

 

庭の手入れをしていた私は、手を休め、立ち止まり、ゆっくりお話を伺うことにした。

 

「私はこの前、厚木産婦人科で今の2代目の若先生にこの子をとりあげてもらいました。

我が家はもう4代ここでお世話になったんです。私自身も厚木産婦人科で産まれました。

だから、この新しい看板で記念撮影したい」

 

驚いた。

 

 

 

 

もちろんですよ、と、シャッターを押した。

 

「先代の先生にも母がお世話になりました、ありがとうございました」

「もしこの子が大きくなってここで出産する日がきたら、厚木産婦人科で5代目です」

 

 

 

 

私はとてもびっくりした。

そんな気持ちで一族でこの病院を愛してくれている方がいらっしゃるのかと、胸が熱くなった。

 

先代のおじいちゃん院長先生の時は、東海大学の産科教授や医師会のたくさんの先生方にも手伝っていただきながら、厚木の医師皆で協力して本当に毎日毎日、自宅兼病院は赤ちゃんの産声に包まれていた。

 

2代目にあたる現在の院長先生は、父の思いとお産への情熱をそのまま引き継ごうと決心した。

今や、親に負けない出産数をこなしている。

先代の思いや哲学はそのまま継続し、厚木の赤ちゃんを昼夜無く世に送り出している。

 

 

昔のエントランスは赤いレンガ。

(高齢でやっとできた初めての男子の孫に大喜びで、趣味の釣りによく一緒に行った)

 

 

飯を食うより産科の仕事!という、先代じいちゃんは、夜中に突然急変して玄関を叩かれても飛び起きて、自分の家族のように早く入れ入れ!と迎え入れた。

 

一昔前の分娩台は高い位置にあり、自動可動機能もなかった。

お腹が痛み「登れません…」という患者様には、じいちゃんは自分の背中にその患者をしょって、おんぶして運んで分娩台に乗せてあげたそうだ。

 

実は、その当の患者本人が、今、厚木産婦人科にいる。

もう80過ぎだが大変元気で、この話の一部始終を聞かせてくれたのだ。

 

「あんな熱い産科の先生はいない、恩返しをしたい」と、独り身になった今、病院の草むしりを手伝い続けてくれている。

 

 

 

 

昔、当院で出産された若いお母さんが年老いておばあちゃんとなり、なおこの病院に愛着を感じてお手伝いしてくれるなんて。

 

仕事を通じた地元の人と人との命のつながりを、私は心からありがたいと思っているし大事にしたいと考えている。

 

 

 

 

人が産まれる、ということは、人生の最高の大仕事です。

 

ジリジリしたあの痛みを乗りこえ、赤ちゃんが股間から、ズルズル、ポーン!と出てきた瞬間のあの天に舞い上がるかのような快感こそ、自然分娩の醍醐味。

 

気持ちい~!と叫ばずにはいられない。

 

私自身もそれをどうしても味わってみたくて、あえて自然分娩を選んだ。

でも決して我慢できない痛みではなく、助産師さんの声と共に子宮の収縮が自然にゆっくり体感でき、ゆえに、その後の大爽快感と大感激は忘れられないし、今でも思い出すほどである。

 

そして、手を合わせたくなる。

 

あの瞬間、子どもに対する愛おしさがいっきに溢れ出てくるのだ!

 

 

 

 

産科・周産期の仕事は、朝昼夜なく365日24時間体制の医療現場だが、こうして、昔のお母さんがおばあちゃんになっても、この厚木産婦人科を訪ねてきてくれる。

いつまでも、その時の担当の助産師さんやスタッフさんを思い出してくれている。

 

これは、何にも代えがたい感激でしかない。

 

周産期はなんてすばらしい仕事なのだろう。

 

 

 

 

今、厚木産婦人科は入院がいっぱいで、この夏は過去最高の出産ラッシュ。

 

それだけ皆様に愛され、期待されているということであると、身の引き締まる思いです。

 

そして、責務の重みを胸に、ママたちには最高の思い出を体験してもらいたい。

笑顔、アイデア、サービス、愛、優しさで、パパやママをお迎えしたい。

 

 

 

 

これからもワクワクしたきれいなエネルギーで満ちた清々しい院内を!

 

私たちこそ、赤ちゃんの無垢の姿に毎日癒され、心が美しくなる人生をいただけてどんどん若返っています。

 

ママ、赤ちゃん、天使たち。本当にありがとう。

 

 

 

「また、僕は次に生まれ変わっても、全く同じこの仕事を、自分の生まれ育った厚木でやりたい。自分には合っている」

先日、院長先生がつぶやいていました。

 

まあ、この人はこれが天命なのだな、

 

私は苦笑いした。