大敬先生のワンデイ・メッセージをご紹介します。
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立花大敬青空ひろば
私が若い頃、松居桃楼(まつい とおる)先生に大きな影響を受けました。
松居先生のお父さんは松居松翁という有名な劇作家で、合気道の植芝盛平先生のお友達でした。それで桃楼先生は、幼い頃、植芝先生に入門させられたのです。
植芝先生はなぜか桃楼少年が気に入られて、一人だけ特別に指導されました。
どんな指導であったかというと、桃楼少年を正座させ、上から植芝先生が真剣をふりおろされるのです。それを避ける練習をくりかえすのです。はじめはおそろしいものだから、大きく身を避けますが、そのうち太刀筋が見えてきて、わずかな動きだけで避けられるようになるのだそうです。
盛平先生はなぜか、桃楼少年には合気道のわざを教えず、身を避ける練習だけをさせられました。
桃楼少年も子供心に不審に思ったのですね。それで盛平先生に『どうして、ワザを教えて下さらないのですか』とたずねたのだそうです。
盛平先生は次のように答えられました。
「わしは、小さい頃から人に勝ちたくて、勝ちたくてしょうがなかった。じゃから、世界一の武道家になろうと志を立てて修行したのだよ。
そうすると、ある日、天地合一して光いっぱいになって、自分と宇宙が一体となるという素晴らしい体験をした。その時に武道の極意が手に入って、それから何を思わないでも自由自在に技が湧き出してきて、それからは無敵なんだよ。
しかし、わしも、今にして思えば道をあやまったと思う。志の立て方がまちがっていた。
わしは、世界一の武道家になろうという志しかなかったから、あの天地合一の体験の時、その志は現実となったけれど、それ以上のものは手に入らなかった。
もし、若い時に、今思い続けているように、世を救いたい、人を救いたいという志を立てておれば、あの体験の時に、その力が手に入ったにちがいないのだよ。
だから君は合気道のわざを覚える必要はない。危険を事前に察知し、数ミリの差で身を避ける能力は必要だから教えておく。あとは、心の修行、精神的、宗教的修行をしなさい」とおっしゃったそうです。