ミスター・ガラス(ネタバレ含) | ライター&アクター✳︎葉月✳︎

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旅行と映画が好きな役者(葉月透梨)&ライター(葉月へちま)のブログです。


ヒーローを渇望するあまり大量殺戮を行った男と、ヒーローになるべく導かれた強靭な男と、自分は人間以上の存在であると信じ込んだ多重人格の男が、心の病んだ人と扱われ一堂に会する新感覚ヒーロー映画。

設定が設定なだけに、完全に「アンブレイカブル」「スプリット」を観た方向けの三部作完結篇ですね。
その上で、「アメコミヒーローのお約束」を共有していないと楽しめないだろうと思います。
かといってヒーロー物を期待して観ると肩透かし食らうだろうし、一体どの層に向けてつくられた作品なんだろう…。
ともかく、ヒーロー映画飽和状態の今だからこそ別の切り口の作品が観てみたかった自分にはドンピシャにハマった映画でした。

ヒーローって、ヴィランって、さらにヴィジランテって、こういうもの!というのが念頭にあると、主人公たちと同様、これまでの二作は虚構?思い込みによる産物なの?と懐疑的になるし、最後の感動もひとしお。






以下、完全にネタバレ。







いやもう、秘密結社の存在が良いですよね。
彼らは精神科医として世間に潜んでいて、ヒーローにもヴィランにもなりうる存在が見つかるたびに、それは思い込みだと思い込ませて封じ込めてきた……という設定がたまらない。

「ヒーローの存在によってヴィランが生まれる」というのはよく言われることで、実際「アンブレイカブル」でイライジャはそうした対の存在として自身を認識していましたが、だからこそ、ヒーローもヴィランも生まれないように管理することで秩序を保つ組織がいるというのも納得。

結局彼らの望む秩序はイライジャの目論見によって瓦解しますが、これがX-MENのようなミュータント誕生の前日譚だと思うとわくわくしました。
彼らの存在を現実のものと理解した世界中の人々が、自身の特別な力を自覚的に操るようになり、やがてヒーローにもヴィランにもなっていく。でもそれをシャマラン監督が描くことはない。描く必要がない。だってそれは私たちが知ってる物語に繋がるものだから……と考えると無茶苦茶胸アツだなって。


しいて難点を挙げるなら、決戦の舞台は予定通りド派手にやってほしかったかなと思いますね。イライジャの作戦だったということはわかりますけど、映画的にはやっぱり期待してしまいました。