毎日新聞 2012年08月20日 東京朝刊

 ◇第11日(19日・甲子園)

 ▽第1試合=3回戦

仙台育英(宮城)

  110000000=2

  20000010×=3

作新学院(栃木)

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 作新学院は1点を追う一回、山下の左中間2点二塁打で逆転。同点で迎えた七回、石井の中前打に失策が重なって1死二塁とし、鶴田が右前に決勝打を放った。

 先発・筒井を五回途中から救援した水沼は無失点の好投。仙台育英は同点本塁打を放った渡辺が3失点と粘りの投球を続けたが、打線が三回以降は精彩を欠いた。

 ◇危機救った得意のシュート

 その球は、右腕・水沼が作新学院で生き残るためのものだった。

 八回2死一、三塁で、打席には仙台育英の3番・星。リードはわずか1点。2球目だった。懐を狙った135キロのシュートが外角への逆球となった。しかし、「切れがあったので打ち取れた。(水沼の)シュートは直球より速い」と捕手・高山。二ゴロとなり、最大の危機は去った。

 4強入りした昨夏。水沼の居場所はアルプス席だった。視線の先のマウンドにいたのは、同学年の大谷。歴然とした差があった。新チームでも結果が出なかった昨年10月、父親から1通のメールが届いた。「シュートを投げてみたら」。武器が一つ増えれば変われると、月内に習得した。それが今では「一番の得意球」だ。

 この日先発した筒井は外野で黙々とランニングを続けた。また、水沼はシャドーピッチングなどでフォームを固めた。大谷らを含めた投手陣のライバル心が、全体の底上げにつながった。

 だから、小針監督も五回、筒井が先頭打者に四球を与えると、迷わずスイッチ。水沼もシュートとスライダーで横に揺さぶり、直球で詰まらせて無失点。3試合連続で継投が成功した。

 前日に登録外の部員の不祥事が発覚し、影響が懸念された。だが、水沼は「勝ち負けでなく、一生懸命な姿を全国に見てもらいたかった」。ベンチ外からはい上がった背番号「18」は言い切った。

 ◇被災地に良い報告

 ○…1点を追う九回2死。仙台育英のエース渡辺は、自ら放った遊撃へのゴロで頭から一塁に滑り込んだ。「投手だからやるなって言われていたけど、つなぎたくて」。甲子園最後の夏が終わった。2桁安打こそ浴びたが、「粘りの投球ができたし、3失点なら合格点」。六回無死三塁のピンチでは速球で押して無失点で切り抜けた。二回には公式戦で初めてという本塁打も放った。宮城代表として、震災後初の甲子園勝利を挙げた。「ふるさとの被災地に良い報告ができた」