毎日新聞 2012年07月26日 地方版
第94回全国高校野球選手権静岡大会(県高野連など主催)は25日、愛鷹球場で準決勝2試合が行われ、常葉橘が2年ぶり、静岡商が5年ぶりの決勝進出を決めた。両試合とも実力伯仲の大会を象徴するかのように延長戦となり、ノーシード校同士の対決は常葉橘が延長十四回裏に1点を挙げ、1-0で聖隷クリストファーにサヨナラ勝ち。今大会3回目の延長戦となった第3シード静岡商は延長十四回の末、3-2で第2シードの静清を降した。決勝戦は27日午後1時から、同球場で行われる。
◆常葉橘、サヨナラ勝ち
【愛鷹球場】
◇聖隷打線連係欠く
▽準決勝
聖隷クリストファー 00000000000000=0
常葉橘 00000000000001=1
(延長十四回)
(聖)鈴木翔-石塚
(常)宮崎-城戸
▽二塁打 河合(聖)清水(常)
初の決勝進出を目指す聖隷クリストファーと2度の甲子園出場経験を持つ常葉橘の一戦は息詰まる投手戦となり、0-0のまま延長戦となった。
常葉橘は延長十四回2死一、二塁から、途中出場の5番青島の左前適時打で二塁走者志水が生還し、サヨナラ勝ちを決めた。投げては主戦の宮崎が相手打線に三塁を踏ませず、3安打に抑える好投を見せた。
聖隷クリストファーは主戦の鈴木翔が常葉橘から10三振を奪い計178球を投げ抜いた。守備も3度の併殺で主戦をもり立てたが、打線がつながらなかった。
◇絆の一曲を熱演
○…常葉橘のスタンドでは、吹奏楽部が選手たちの活躍を盛り上げた。レパートリーは10曲。五回終了後のグラウンド整備時間には「ウィーアー!」を演奏した。定期演奏会に野球部ナインが出演しダンスを披露した際の「野球部との絆を象徴する」一曲だという。常葉橘ナインは延長十四回裏にサヨナラ勝ち。白鳥真帆部長(3年)は「決勝戦でも、選手と一緒になって戦っていることを演奏を通して伝えたい」と笑顔を見せた。
◆静岡商、好機がっちり
◇静清粘りあと一歩
▽同
静岡商 00020000000001=3
静清 00001000100000=2
(延長十四回)
(商)国松、今本-吉永
(清)山本、米田-鈴木翔
▽三塁打 水口2(商)米島(清)
静岡商は四回1死二、三塁の好機で、スクイズ失敗で挟まれた三塁走者の吉永が本塁に突っこむと、弾みで相手捕手が落球。この間に2点を挙げ先制に成功。追いつきたい静清は五回に連打と犠打などで1点を返す。さらに九回2死二塁から若松が右翼線へ適時打を放ち、土壇場で延長戦に持ち込んだ。
その後は両者譲らず、スコアボードに0が並ぶ。試合が動いたのは十四回表、静岡商の先頭打者、水口の三塁打で勝ち越し機を作ると、続く野極の適時打で1点を奪う。静清も十四回裏に1死二塁の好機を作ったが、併殺に倒れた。
◇タオル振り鼓舞
○…静清のスタンドでは、リズミカルな音楽に合わせてスポーツタオルを振り回し、ナインを鼓舞した。野球部の3年生、水谷慎之介さん(18)がプロ野球の千葉ロッテの応援を参考に考案し、今年から始めた新しいスタイルだ。この日は全校応援で駆けつけた約600人の生徒と野球部員の保護者約120人が一斉にタオルを振り回した。水谷さんは「静清は接戦に強いので、最後まであきらめない」とエールを送っていた。
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■忘れない夏’12
◇先輩の存在が支えに--聖隷(2年)鈴木翔太投手
延長十四回裏2死一、二塁、サヨナラ負けのピンチ。「先輩たちと一緒に甲子園に行くんだ」。常葉橘の5番打者に向け、決め球のフォークを思い切り投げた。だが、打球は遊撃手のグラブをはじき左翼へと抜けた。その瞬間、頭が真っ白になった。
マウンドでしゃがみ込んでいると、先輩の亀山裕輝三塁手(3年)がそっと背中に手をかけてくれた。支えられながら整列したが、一瞬しか前を見ることができなかった。
183センチの長身から繰り出される直球やフォークで相手の打者を抑え、4回戦では第1シードの静岡をわずか2安打、24日の第5シード、浜松工戦でも3安打完封で、ノーシードからチームを初のベスト4へ導いた。
支えになったのは、常に声をかけマウンドに駆け寄ってくれた先輩たちの存在だった。ピンチの時は必ずバックを振り返り、「俺には信頼できる先輩たちが付いている」と心を落ち着かせてきた。
先輩と甲子園に行く夢は、かなわなかった。「もっと体力をつけて、球種を増やして、来年こそ甲子園へ行きたい」。その瞳にもう涙はなかった。