毎日新聞 2012年08月02日 地方版

 7月22日、県営野球場であった長崎大会決勝。長崎商にサヨナラ勝ちで優勝を決め、喜びに沸き返る選手を見つめながら、清水央彦(あきひこ)監督(41)はほっとした表情を浮かべていた。

 06年選抜準優勝をした清峰のコーチなどを経て、09年夏に佐世保実監督に就任した。3年生は「じっくり育て上げた選手たち」だ。甲子園が目標だったから、「指導者としての責任を果たした」のだという。

 清水監督の原点は97年から4年間コーチをした平戸高にある。初戦突破も難しいチームだったが、トスバッティングなどの基本練習を繰り返した。手探りの日々だったが、99年秋の九州大会では地区予選を勝ち抜き、県大会に進出するまでに成長した。「勝つことで選手の目は輝き、成長し、学んでいく」と肌で感じた。

 03年からの清峰コーチ時代は、甲子園の常連校、広陵(広島)や済美(愛媛)などを回り、練習を盗んだ。独学で野球の本を読みあさり、良いと思う練習は選手にすぐに試した。そして、清峰は全国レベルのチームに成長した。

 佐世保実の3年生はそんな清水監督をしたって入部した。エースの木村隆志投手(3年)は「監督の言うことを聞けば甲子園に行けると思っていた」と絶大な信頼感を寄せる。

 長崎大会準決勝の瓊浦戦で6安打2失点で五回途中で降板した。ただ、試合終了後、監督から決勝の先発に指名された。「監督の信頼に応えたかった」と意気に感じ、決勝では前日とは別人のような投球を披露。9回を11奪三振1失点の力投で勝利の立役者となった。清水監督は「ここ一番は、3年間頑張り続けた選手を信じたかった」と語った。

 佐世保実には4番の松山和博主将や、遊撃手の山口真選手ら要のポジションには3年生がいる。山口真選手は「失敗しても、その『次』を見ていてくれる監督です」と語る。その顔は「だから、頑張るんです」と言いたげだった。

〔長崎版〕