毎日新聞 2012年07月13日 地方版
◇経験重ね、本番に胸躍らせる
14日開幕する第94回全国高校野球選手権岡山大会で、美咲町原田のバーテンダー、大島朱美さん(45)が県内で初めて女性として審判員を務める。練習試合でも経験を重ねて本番に備えている。憧れの舞台を前に、「一番近くで球児の青春を支えられるのが楽しみ」と胸を躍らせている。
美咲町書副のエイコンスタジアムで今月上旬にあった練習試合で、大島さんは三塁塁審を務めた。「元気出していこう」。攻守の交代では全力疾走する。ベース上のタッチプレーでは、三塁手のグラブに阻まれた走者のスパイクを確認して「アウト」と右手を突き上げた。「お客さんもわかるように、声と体の動きはなるべく大きく」と話す。
幼い頃から野球好きで、中学時代は野球部に入ろうとし、勝山高で野球部マネジャーを務めた。06年、エイコンスタジアムが岡山大会の会場になり、アナウンス係の募集を知って野球熱が再燃した。ボランティアのアナウンス係のため週末ごとに球場に通った。アナウンスの合間に野球本を広げてルールを学び、審判員に際どいプレーの判断を尋ねるうちに勧められた。「そんなに野球が好きなら、審判やってみれば」
「私には無理だ」。自信がなかったが偶然、本屋で女性として初めてプロ野球の入団テストを受けた同い年の森井和美さん(45)の本を見つけた。本を読んで「勇気づけられた。やっぱり球児とともにグラウンドに立ちたい」と昨年3月に審判員講習を受け、審判部に登録した。
津山市内のワインバーで働きながら、仕事のない日中に録画したプロ野球中継で審判員の動きを追った。土日は球場で練習試合の球審を志願し、約40試合をこなした。中国5県で女性審判員は広島県と山口県に各1人いるだけ。大島さんは「打球を恐れてはだめ。堂々と冷静にジャッジして、女性でもできるんだとアピールしたい」と気を引き締めた。
審判部によると、大島さんを含め3人が新たに加わり、審判員は66人。元球児など野球好きの会社員らが集まり、年に2回、実戦形式の講習会で技術を磨く。川上定男審判委員長は「選手が気持ちよくプレーできるよう、高校野球を盛り上げたい」と話した。