毎日新聞 2012年07月08日 地方版
11日に開幕する第94回全国高校野球新潟大会に、部員の少ない上越市の県立有恒高と同安塚高が、県内唯一の連合チームとして出場する。合同の練習時間が限られるなど、単独チームにはない苦労もあったが、選手たちは初戦突破を目指し、最後の練習に汗を流している。
上越市板倉区の有恒高で7日、両校の選手たちが練習用の白いユニホームに身を包み、合同練習に臨んだ。有恒は葭原太一主将(3年)ら選手8人。安塚は小平翔平主将(3年)ら4人。
「気合を入れていこうぜ」。雑なプレーが見られると、どちらの学校かは関係なく、厳しい声で指摘し合う。「違う学校のチームという感覚はない」。葭原主将は言い切る。
だが、昨年の夏休み以降、両校で合同練習を始めてしばらくは、そうはいかなかった。
有恒は3年生が引退し、新チームは4人。安塚は2人。サインプレーや連係プレーで、両校にはやり方に違いがあったため、お互いの動きがかみ合わなかった。遠慮する気持ちもあって、言いたいことも言えなかった。
葭原主将は動いた。キャッチボールやトスバッティングなど2人1組でやる練習はできるだけ違う学校の選手同士を組ませた。昼は一緒に弁当を食べ、戦術を確認したり問題点を話し合ったりした。選手たちの間に、一体感が生まれていった。
合同練習は主に土日。安塚の選手は父母らの車に乗り、約30分かけて有恒のグラウンドまで出向いた。平日は別々の学校で練習する。安塚は春に1年生2人が入るまで、小平主将と山崎裕仁選手(3年)が野球部の灯を守ってきた。人数が足りないため、連合チームでは部長を務める本間亨監督(40)とキャッチボールや素振りなど基礎練習を繰り返した。梅雨時は、放っておくとグラウンドが雑草だらけになる。練習より長い時間を草むしりにかけた時もあった。
今春。新入部員が入った。同じく部員不足で合同練習をしていた同市の久比岐高は人数がそろい、単独チームに戻った。一方、有恒は8人、安塚は4人で9人に届かなかった。
今年5月、日本高野連は部員不足の学校について、夏の大会から連合チームの結成を認める決定をした。全国では複数の学校による連合チームは有恒・安塚を含め、11チームが出場する予定。
◇選手たちに競争意識
有恒の高岡禎監督(38)は、助っ人を入れて単独出場することも考えた。昨秋と今春の公式戦はそうした。が、「安塚と組んだ方が戦力は上」と判断。連合チームの道を選んだ。先発出場が確実と思っていた有恒の選手たちには危機感が生まれ、チームに競争意識が芽生えたという。
高岡監督は合同練習で、守備や打撃について細かく課題を指摘した後、「本番で相手を上回ればいいんだ」と発破をかけた。
安塚は09年の夏を最後に公式戦から遠ざかっている。小平主将にとっては最初で最後の公式戦。「辞めずに、続けてきてよかった。もし出場する機会があれば、自分の役割を果たしたい」と表情を引き締める。
葭原主将は言う。「僕たちは1年間、一緒に頑張ってきた仲間。即席チームではない」。連合チームの初戦は15日。長岡市悠久山野球場で、小千谷と長岡の勝者と対戦する。