毎日新聞 2012年03月15日 地方版

 ◇体調の変化見逃さない--智弁・トレーニングコーチ 中村紀仁さん(34)

 「勝って喜ぶ選手の姿を見るのが、大きなやりがい」。週1回、自宅のある大津市から車で片道2時間半かけて智弁学園を訪れ、筋力トレーニングなど選手たちの指導に当たっている。

 高校時代は大阪体育大浪商で捕手。けがに悩まされた経験から「自分のような選手が減るように」とトレーナーを志した。松下電器野球部のコンディショニングコーチだった2002年、同部の選手だった小坂将商監督と出会う。高い手腕を見込まれ、09年から智弁学園の専属となった。

 心掛けるのは、選手とのコミュニケーション。積極的に話して性格や特徴を把握し、微妙な体調の変化も見逃さず、マッサージやストレッチを施す。勤務する整形外科病院の医師などからの情報も活用。インフルエンザ対策として、就寝時にぬれたバスタオルを室内に干すなど簡単な体調管理法も教えている。

 「センバツで優勝し、夏につながる甲子園にしてくれたら」。選手と共に全国制覇の夢へ向かって走る。

 ◇厳しさ通じ生徒を指導--天理・ヘッドコーチ兼寮長 木田準也さん(29)

 指導方針は「根性」。気のないプレーに落とす雷は容赦ない。改善策を考え、行動に示すまで練習に参加させないことも。厳しさを通じて伝えたいことがある。「後悔するな」

 2001年卒のOB。選手時代の記憶は苦い。1年時からレギュラー入りする強打者だったが、不祥事で00年センバツへの出場機会を逃し、夏も奈良大会で敗退。甲子園の土は踏めなかった。しばらくは高校野球を見るだけでつらかった。

 天理大野球部コーチだった昨夏、母校のコーチ就任を打診され、迷いなく引き受けた。半ばで破れた夢。そんな自分だからやれることがあると思った。

 寮には午前6時起床の規律を導入。部員との交換日記は2冊目に入った。ある選手は言う。「いるだけで怖い」。しかし「自分らのことを一番に考えてくれている」と。

 センバツ出場が決まった1月27日。浮かれないよう「喜ぶな」と選手をいさめた。「だけど、一番喜んでいたのは僕」。選手と心は一つだ。