毎日新聞 2012年03月29日 地方版
第84回選抜高校野球大会第7日の28日、光星学院は第3試合で近江(滋賀)と対戦。13-1で圧勝し、初のセンバツ8強入りを果たした。序盤は相手投手の低めの変化球に苦しんだが、三回に北條史也選手(3年)が走者一掃の二塁打を放つなど、持ち前の打撃力を存分に見せつけた。県勢では1987年の八戸工大一(八戸市)以来、25年ぶりとなる準々決勝進出の快挙。アルプススタンドは「次も頼むぞ」と大きな声援と拍手でナインを励ました。光星学院は大会第10日の31日第1試合で、履正社(大阪)と愛工大名電(愛知)の勝者と対戦する。
▽2回戦=第3試合
光星学院 003052021=13
近江 000000001=1
雷の影響で開始が約10分遅れた第3試合。光星学院は、3日前の初戦の不発はうそのように、近江自慢の右腕3投手「3本の矢」をへし折り、3ランなど15安打と自慢の打撃力をとどろかせた。
三回1死、「内角の真っすぐをうまく合わせた」と天久翔斗選手(3年)が右前打で2打席連続出塁を決め、スタンドは「天久コール」で沸いた。父朝俊さん(51)も「今日は絶好調だな」と上機嫌。続く村瀬大樹選手(同)の中前打と田村龍弘選手(同)の四球で1死満塁とし、「ここで自分が決める」と主砲、北條史也選手(同)が打席に立った。
「狙いを真っすぐに絞った」と振り抜いた直球は、左中間を越える走者一掃の適時二塁打となり、一挙3点を先制した。父映彦さん(46)は「ここ一番で打てて良かった」と胸をなで下ろした。
さらに五回、主軸の連打と敵失で2点を加え、1死二、三塁から城間竜兵選手(同)が振り抜いた打球が左翼に伸びる。「お願い、入って」と心で念じた母真由美さん(45)。ポール直撃の3ランとなり、球場全体が沸き返った。「前の試合は打撃が良くなかったのでうれしい」と息子の活躍に涙を流した。
打線の好調は守備にも波及した。八回、1死から2連続安打で失点の危機に、続く打者が右中間に放ったあわや2点打の当たりを木村拓弥中堅手(同)が全力疾走し、左に跳んで好捕。「思い切り手を伸ばしたらいけた」とピンチを切り抜け、スタンドの応援も最高潮に達した。
そして九回。本塁打を奪われつつも、先発した金沢湧紀投手(同)が低めのスライダーを決める1投ごとに、保護者席から「ナイスピッチング」の大声援。「最後まで集中を切らさなかった」と甲子園初先発を白星で切り抜けた。
昨夏の甲子園は準優勝し、秋の神宮球場大会は優勝して迎えるセンバツ初の8強入り。北條選手は「これからはレベルの高い野球をしなければ勝てない。好機で確実に打つことを心がけたい」と、試合後早くも次戦に焦点を合わせた。
◇地元初エースの気迫--金沢湧紀投手(3年)
「最初は緊張したけれど、次第に慣れて良いフォームで投げられた」。光星は春夏11回目の甲子園だが、地元・八戸市出身のエースは初めて。その栄誉を背負い、初のマウンドに臨んだ。「打線に助けられた」と謙遜するが、スライダーとカーブで相手打線を抑え、1失点の好投。エースの貫禄を見せつけた。
3日前先発した城間竜兵選手(3年)の存在が頭にあった。「良い投球をしていたので絶対負けられない」と闘志を燃やした。この日後半は毎回走者を出しながらも「光星の主戦として、城間以上の投球を」と低めに球を集め、後続を断った。
制球が定まらず、ボールが先行する場面でも「あごが上がるとダメだな」と試合の中で自らフォームを修正、冷静なマウンドさばきを見せた。
「おれもあのユニホームで1番を背負って投げたい」。下沖勇樹投手(現福岡ソフトバンクホークス)がセンバツで投げているのをテレビで見て憧れた中学時代。挫折を重ねながら練習に耐え抜き、ついに夢の舞台に立った。夢を与える側になった今、「あきらめなければここまでくることができる。それを子供たちに伝えたい」。気迫あふれる投球がそれを証明した。
◇吹奏楽部も後押し
○…時折雨が降る中、光星学院吹奏楽部の21人が軽快な演奏でナインの活躍を後押しした。視覚障害のあるシンガー・ソングライター、板橋かずゆきさん=むつ市=から贈られた定番の応援歌「だいじょうぶ」など7曲を元気いっぱいに演奏。相手チームは中学の吹奏楽部も加わった3倍近い人数での演奏だったが、3年生の坂下みほ部長(17)は「数では負けても、応援の気持ちでは上回っています」と胸を張ってタンバリンを鳴らしていた。