◇3年800日、カード交換 目標意識させ糧に
 第84回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)に21世紀枠で初出場する女満別。全校生徒132人の小規模校ながら、地道に実力をつけ、夢だった「甲子園」を手にした。第1部は、その過程を3回に分けて報告する。

 女満別の鈴木收監督(43)は19人の選手と毎日、“日記”を交わしている。選手は自分の思いを記し、練習前のミーティングで提出する。鈴木監督は前日に受け取ったカードに一言書き添えて返す。

 「800日のカード」。鈴木監督がこう名付けた紙はA5判の2枚。800日とは1年生の春の入部から3年生の大会終了までの日数だ。1枚はその日の「目標カード」。個人の目標とチームの目標を書く。もう1枚は「反省カード」。前日の自分の行動を見つめ直す。

 鈴木監督がこのカードを思いついたのは、遠軽中学校野球部の監督だった02年。練習中は選手全員に声をかけられない。選手とのコミュニケーションを図ろうと始めた。

 「カードを見ている時はその子のことだけを考えられる。選手と一対一の関係を作りたかった」。鈴木監督にとってカードを見る時間は、選手一人一人との対話の時間。学校から帰宅後、選手の顔を思い浮かべながら、約40分かけ、全てのカードに目を通す。

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 カードに書き込むチーム目標には、ぜひ達成しようという「中間目標」、最終的に目指す「最高目標」の二つがある。

 10年秋には中間目標だった「全道大会出場」を達成し、それ以降は「全道1勝」に。昨夏は1勝を果たし、準決勝まで勝ち進んだ。

 平田悠人主将(2年)は「最初はカードの意味が分からなかったが、毎日書くうち、目標を実現させたいと意識するようになった」と成果を実感する。

 カードには勉強時間や睡眠時間、体調など野球とは直接関係ないことを書く欄もある。個人目標は将来の夢でもいい。「農家経営をしっかりやりたい」などと書く選手もいる。

 「選手が何を目指しているか知っていたい。高校野球が終わっても、その先の人生をどうするかが大事だから」と鈴木監督。二階堂誠治投手(同)は「監督がいつも見ていてくれると思うと、やる気が出てくる」と話す。

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 カードは3年の夏までに1600枚。ファイル7冊分にも上る。鈴木監督は「1枚は薄いが、積み重ねれば厚くなる。練習も同じ」と話す。

 昨秋の道大会で2回戦敗退したチームの中間目標は「春の道大会4強」、最高目標は「優勝」。センバツ出場が決まったが、あえて目標は変えないつもりだ。「地道にやることが大切。甲子園でもいつも通りプレーしたい」。日々の積み重ねで大舞台に挑む。

毎日新聞 2012年2月1日 地方版