福井商業高校野球部の監督を43年間務め、昨年3月に退任した北野尚文さん(66)の講演会(高浜町体育協会など主催)が26日、高浜町文化会館であった。「私と高校野球~目標は甲子園、目的は人を育てる」のテーマで、野球指導を通した人間教育について語り、約100人が熱心に聴き入った。
北野さんは1968年に監督に就任し、71年のセンバツで甲子園初出場を果たした。以降、春夏通算36回の甲子園出場は全国歴代監督1位。
初出場当時の部員はマネジャーを含めて13人。周囲の予想を覆して県大会を制し、以後伝説となる「炎のチーム」の萌芽(ほうが)をみせた。78年のセンバツで準優勝。北野さんは「スターこそいないが、ひたむきに練習に取り組む選手が多かった。『勝って強くなる』という伝統を作ったチームだった」と振り返った。
監督に就任した頃は猛練習で鍛え上げるスパルタ指導の信奉者だったが、後にはチーム力と強烈な団結心を重視するようになった。そして「甲子園は目標であり、それを目指す目的は人間性を磨くこと」と、選手らの精神的な成長を育む指導の大切さを強調。選手一人一人が目的や勝つために克服すべき課題を見つけられるようにと全員に個人ノートの記載を課すなどの工夫も紹介した。
指導のポイントは選手の意欲づくりと言う一方、最近の選手については「やる気にさせることが難しい。気持ちは昔と変わらないが本気さが伝わって来ない」と指摘。「勘と本質を見る目を持ち、選手らを観察しなければならない」と、指導者の在り方を語った。
毎日新聞 2012年2月28日 地方版